EU ロシア産石油 禁輸で合意 パイプラインでの輸入は当面除外

EU=ヨーロッパ連合は30日の首脳会議で、ウクライナへの軍事侵攻を続けるロシアへの追加制裁として、ロシア産の石油の輸入禁止で合意しました。一部の加盟国が反対する中、パイプラインを通じた輸入は当面除外することで妥協を図り、合意を優先させた形です。

EUはベルギーのブリュッセルで30日から首脳会議を開いていて、初日はロシアへの追加制裁として検討してきたロシア産の石油の輸入を禁止する案などについて協議しました。

石油の輸入禁止をめぐっては、パイプラインでロシアから石油を調達しているハンガリーが、自国のエネルギー確保が脅かされるとして強く反対していましたが、協議の結果、パイプラインによる輸入は当面除外し、船で輸送される石油に限ることで合意したということです。

EUのフォンデアライエン委員長は、今回の合意でロシアから輸入される石油はことしの年末までに90%近く減ることになるとしています。

EUの執行機関、ヨーロッパ委員会が今月4日に提示した当初の案では、船とパイプライン両方で輸送される石油を全面的に禁輸するとしていましたが、加盟国の立場の隔たりが埋まらない中、対象を一部除外することで妥協を図り合意を優先させた形です。

EUのミシェル大統領は会見で「EUの結束が十分ではないのではないか、という臆測もあった。EUは価値観を強固に守っていると示すことがこれまで以上に重要だ」と合意の意義を強調しました。

首脳会議ではこのほかの追加制裁としてロシア最大の金融機関ズベルバンクを国際的な決済ネットワーク、SWIFTから締め出すことなどについても合意しました。

松野官房長官「合意を歓迎」

松野官房長官は、31日、閣議のあとの記者会見で「ロシアのウクライナ侵略は国際秩序の根幹を揺るがす暴挙で、高い代償が伴うことを示していくことが重要だ。ロシアにとって石油輸出は重要な外貨獲得手段であり、EU=ヨーロッパ連合が連携して、さらなるロシアへのエネルギー依存の低減につながる措置につき合意したことを歓迎する」と述べました。

そのうえで「石油のほぼすべてを輸入に頼っているわが国としては大変厳しい決断だったが、G7=主要7か国の結束が何よりも重要なときであり、すでにロシア産石油の原則禁輸という措置をとることを表明済みだ」と述べました。