インド太平洋経済枠組み 草案判明 4つの柱“強じんで公平な経済を”

アメリカ政府が来週のバイデン大統領の来日に合わせ、東京での発表を目指すIPEF=インド太平洋経済枠組みの立ち上げに向けた宣言の草案が明らかになりました。貿易やサプライチェーン、インフラなど4つの柱について参加国を募り、中国への対抗を念頭に、強じんで公平な経済の構築を目指す方針を掲げています。

IPEF=インド太平洋経済枠組みは、アメリカのバイデン政権が、影響力を拡大する中国への対抗を念頭に立ち上げを目指す経済連携で、バイデン大統領が訪日する来週前半、みずから立ち上げに向けた宣言をする方向で調整が進められています。

このほどNHKが入手した宣言の草案では、枠組みは▽貿易▽サプライチェーン▽クリーンエネルギー・脱炭素・インフラ、それに▽税と汚職対策の、4つの柱について基準を作るなどし、インド太平洋地域の経済に強じんさと成長、公平さなどをもたらすとともに、人々が明確な利益を享受できるようにするとしています。

そして、枠組みの設置に向けたプロセスを始め、その後も、関心のある国々を受け入れていくと明記しています。

アメリカは、もともと、TPP=環太平洋パートナーシップ協定の交渉を主導しましたが、トランプ前政権のときに交渉から離脱し、バイデン政権も、国内の労働者への配慮などから協定への復帰に否定的で、これに代わる枠組みとして去年、IPEFの構想を打ち出しました。

しかし、アメリカが参加を期待するASEAN=東南アジア諸国連合の加盟国の中には、関税引き下げなどのメリットがないとして、参加に慎重な国もあることから、関係者によりますと、バイデン政権は各国に4つの柱のうち、参加したいものを選べるよう条件を緩和し、参加を促す方針に改めたということです。

バイデン政権としては、大統領が来週、IPEFの立ち上げに向けた宣言をしたあと、できるだけ早く閣僚級の協議を行ったうえで、ことし7月に本格的な協議を始め、18か月以内の発足を目指す考えだということで、枠組みの内容とともに、参加国がどれだけ集まるかが焦点となっています。

松野官房長官「参加に向け 前向きに検討」

松野官房長官は、午前の記者会見で「インド太平洋経済枠組み、いわゆるIPEFについては、現在、アメリカが立ち上げの詳細を含めた今後の進め方の検討や調整をしている段階と承知している」と述べました。

そのうえで「日本は、バイデン大統領の提唱するIPEFをアメリカのインド太平洋地域への積極的なコミットメントを示すものと歓迎しており、参加に向けて前向きに検討を進めている。同時に、アメリカによるインド太平洋地域の国際秩序への関与という戦略的な観点から、アメリカのTPP=環太平洋パートナーシップ協定の復帰が望ましいとの立場に変わりはない」と述べました。

そして「日本は、首脳を含むさまざまなレベルで引き続きアメリカのTPP復帰を求めていくとともに、IPEFを通じても協力を推進し、アメリカを含む形での地域の望ましい経済秩序の構築に向けて、日米で緊密に連携して取り組んでいく」と述べました。