赤字の地方路線 維持と廃線が拮抗 NHK世論調査

NHKは、今月6日から3日間、全国の18歳以上を対象にコンピューターで無作為に発生させた固定電話と携帯電話の番号に電話をかける「RDD」という方法で世論調査を行いました。
調査の対象となったのは2191人で、55%にあたる1214人から回答を得ました。

鉄道の地方路線で赤字で存続が危ぶまれる路線が増えたため、国は廃線にすることも視野に議論を進めています。こうした路線をどうすべきか聞きました。

「国や自治体が財政支援をして維持すべき」が44%、「廃線にして、バスなどに切り替えるべき」が44%でした。

見直し視野に議論開始 国の検討会

人口減少や新型コロナウイルスの影響で存続が危ぶまれる路線もある全国の地方鉄道について、廃線にしてバスに切り替えるなど、抜本的な見直しも視野に議論する国の検討会が始まっています。
鉄道を残したい地域からの反発も予想される中、鉄道事業者に頼ってきた費用負担などについて、沿線自治体がどのように関わっていくかが焦点となります。

2月14日の初会合には、国土交通省と鉄道事業者の幹部や専門家などおよそ20人が出席しました。
会合は大半が非公開で行われ、出席者からは「単に『鉄道を残す』ということではなく、地域の利便性を高めることが重要だ」とか「1キロあたりの1日の乗客が2000人未満の路線もあり、このままの形で鉄道を維持することは非常に難しい」といった意見が出されたということです。

全国の地方鉄道は、多くの事業者が赤字に陥り、存続が危ぶまれる路線も出ていて、検討会では今後、鉄道を廃線にしてバスに切り替えるなど、抜本的な見直しも視野に議論する方針です。

一方、長年、地方の移動を支えてきた鉄道を廃線にすることに対しては地域からの反発も予想されます。

路線の維持に向けては、鉄道事業者に頼ってきた費用負担などについて、沿線自治体がどのように関わっていくかが焦点となり、国は、ことし7月をめどに方向性を示したいとしています。

座長を務める交通政策に詳しい東京女子大学の竹内健蔵 教授は「廃止か存続か、単純な議論ではなく、危機感を共有しながら、多様な選択肢を議論し、戦略を導き出していきたい」と話していました。