野田少子化相 “子どもの意見も反映し政策実現” こども家庭庁

子ども政策の司令塔として、政府が来年4月の発足を目指す「こども家庭庁」の取り組みについて、野田少子化担当大臣はNHKの「日曜討論」で、子どもの意見も反映させながら政策を実現させていく考えを示しました。

この中で、野田大臣は「こどもの数が減り始めて半世紀ほどたつにもかかわらず、保育所は厚生労働省、幼稚園は文部科学省のようになっており、受け皿となる統一的な役所がなかったのは問題だった」と述べました。

そのうえで、来年4月の発足を目指す「こども家庭庁」について、「今までよりもはるかに効果的になる。省の方が庁より偉いと思っている人もいるが、総理大臣のもとで強い権限を持った庁が総合調整をしていく」と強調しました。

そして、「こども家庭庁」の取り組みについて、「子どものための審議会をつくりパブリックコメントなども行って、子どもの意見を聴く組織体にしたい」と述べ、子どもの意見も反映させながら政策を実現させていく考えを示しました。

一方、金銭面の不安を抱える子どもへの対応に関連して、「必要なお金はしっかり届けなければならない。これまで、子どもをどう育てていくか、どう伸ばしていくかという全体的な議論が欠けていた。やれることはいくらでもある」と述べました。

「子どもの声聞く環境づくりを」虐待を体験した若者が訴え

こどもの日の5日、都内では子どもの声を尊重する行政対応などを目指す全国組織がセミナーを開き、親から虐待を受けて児童養護施設で育った男性が、子どもの声を聞くための環境づくりの必要性を訴えました。

セミナーは、子ども自身の声を尊重し、児童虐待に対する行政対応や国の制度への提言に反映させていくため、ことし3月に設立された「全国子どもアドボカシー協議会」が初めて開きました。

セミナーでは、虐待から保護され児童養護施設や里親家庭で過ごした若者2人が登壇し、自身の体験から語りました。

このうち母親から虐待を受けたという布施響さん(27)は「命からがら逃げたあとの児童養護施設での生活は僕にとってつらい体験でした。周りには模範的ないい子をふるまっていましたが、本当は気付いてほしかった」と振り返りました。

そのうえで、子ども一人一人に向き合えるよう施設の職員の数を増やすなど「子どもの声を聞くための環境づくりが大切だ」と支援の必要性を訴えました。

協議会では今後、子どもや若者たちの声を聞き取るための人材の育成や各地の活動をつなぐ事業などに取り組み、国への政策提言にもつなげることにしています。

協議会の事務局長を務める安孫子健輔弁護士は「10代や20代の若い世代が一緒になって進めており、言いたいことを言えずにいる子どもには『大人に遠慮なく意見を言っていいんだよ』と伝えたいし、子どもにも意見があって当たり前という社会にしていきたい」と話していました。