自民「敵基地攻撃能力」の名称を「反撃能力」に 変更案を了承

政府の国家安全保障戦略などの改定に向け、自民党の安全保障調査会は、敵のミサイル発射基地などを破壊する、いわゆる「敵基地攻撃能力」の名称について「反撃能力」に変更することを盛り込んだ政府への提言案を党の会合で示し、了承されました。

国家安全保障戦略など安全保障関連の3つの文書を、年末までに改定する政府の方針を受けて、自民党の安全保障調査会は、21日午後、党所属の議員を対象にした会合を開き、政府への提言案を示しました。

敵のミサイル発射基地などを破壊する、いわゆる「敵基地攻撃能力」の名称変更が焦点となっていましたが、弾道ミサイルなどに対処するための「反撃能力」とするよう政府に求めることを盛り込んでいます。

そのうえで、極超音速滑空兵器や変速軌道で飛しょうするミサイルなど、ミサイル技術の急速な進化で、迎撃だけでは日本を防衛しきれないおそれがあるとして「専守防衛」の考え方のもとで、こうした能力の保有を政府に求めています。

提言案に対し、出席者から大きな異論は出されず、扱いを調査会長の小野寺元防衛大臣に一任する形で了承されました。

「敵基地攻撃能力」の名称変更をめぐっては、これまでの自民党内の議論で「自衛反撃能力」や「領域外防衛」、「ミサイル反撃力」といった案が出ていました。

「反撃能力」保有 自民提言 参院選後に調整本格化へ

政府の国家安全保障戦略などの改定に向けて、自民党の提言がまとまり、いわゆる「敵基地攻撃能力」を「反撃能力」に名称を変更したうえで保有することや、5年以内に防衛力の抜本的な強化に必要な予算の確保を目指すことが盛り込まれました。提言も踏まえた政府・与党内の調整は、夏の参議院選挙のあとに本格化する見通しです。

政府は、国家安全保障戦略など安全保障関連の3つの文書を年末までに改定する方針で、これに向けて、自民党の安全保障調査会は21日、政府への提言をまとめました。

提言では、敵のミサイル発射基地などを破壊する、いわゆる「敵基地攻撃能力」について「反撃能力」に名称を変更したうえで保有し、対象範囲は、基地に限定せず指揮統制機能なども含めることを盛り込みました。

また、防衛費は、NATO=北大西洋条約機構の加盟国がGDP=国内総生産に対する割合で2%以上を目標にしていることも念頭に、5年以内に防衛力を抜本的に強化するために必要な予算水準の達成を目指すとしています。

提言も踏まえ、政府は今後、「反撃能力」の具体的な保有のあり方や、防衛費の増額に伴う財源の確保策などについても検討を進めることにしています。

ただ、与党内でも、公明党は需要の大きい社会保障や教育の費用も重視すべきだとして、防衛費を直ちに増額することには慎重な姿勢を示しており、国家安全保障戦略などの改定に向けた政府・与党内の調整は、夏の参議院選挙のあとに本格化する見通しです。

「敵基地」「防衛費 」各党の主張は…

【敵基地攻撃能力】

▼公明党は、ミサイル技術の進化によって「敵基地」の概念が変わってきており、実態を踏まえた名称を検討すべきだとした上で、保有については今後、議論を深めるとしています。

▼立憲民主党は「専守防衛から逸脱するおそれがあるほか、アメリカ並みの打撃力がなければ抑止力としては機能しない」などとして、慎重な議論が必要だとしています。

▼日本維新の会は、一定の抑止力として、敵の領域内でミサイル発射などを阻止する「領域内阻止能力」を保有する必要があると訴えています。

▼国民民主党は「抑止力を高める意味で、相手領域内での迎撃、抑止能力は必要だ」として、議論を急ぐべきだとし「敵基地攻撃能力」の名称の変更も主張しています。

▼共産党は「先制攻撃の可能性をはらむもので、認めれば大変な『軍拡』になり、きっぱりやめるべきだ。これまで政府が唱えてきた専守防衛にも反する」として、強く反対しています。

▼れいわ新選組は「保有すれば、日本が戦闘行為を準備していると見られる。周辺情勢を緊迫化させ、日本を危機に立たせる愚策だ」と批判しています。

【防衛費の増額】

▼公明党は、日本を取り巻く国際情勢の変化に応じて議論は必要だとする一方、需要の大きい社会保障や教育の費用も重視すべきだとして、直ちに増額することには慎重な姿勢を示しています。

▼立憲民主党は「周辺の安全保障環境が厳しさを増す中、必要な防衛力は着実に整備すべきだが、防衛費の額は数字ありきではなく、議論の積み上げが必要だ」と主張しています。

▼日本維新の会は、核保有国による侵略のリスクが現実に存在し、自衛力の抜本的な見直しを行うべきだとして、対GDP比2%にとどまらず、必要な予算を充てるべきだとしています。

▼国民民主党は、北朝鮮の新型ミサイルの発射などの新たな脅威に対応していく必要があるとして、防衛費の拡充は不可欠だと主張しています。

▼共産党は「対GDP比2%への増額は、現在の防衛費を倍増させることとなり、国民生活にも大きな犠牲を強いることになる。憲法9条を持つ国として到底許されない」としています。

▼れいわ新選組は「日本は、防衛装備品をアメリカ政府から直接、調達する契約方法がコスト増の温床となっており、防衛費の増額を訴える前に見直しを図るべきだ」と主張しています。