政府 18歳成人 アダルトビデオへの出演強要被害の対策まとめる

4月1日から成人年齢が引き下げられるのを前に、政府は新たに成人となる18歳や19歳が、アダルトビデオへの出演を強要される被害から守るため、若者への教育や啓発を強化することなどを盛り込んだ対策パッケージをまとめました。

成人年齢の引き下げをめぐっては、新たに成人となる18歳と19歳が、親などの同意を得ずに結んだ契約であれば、原則、あとから取り消せる「未成年者取消権」が使えなくなることで、アダルトビデオへの出演を強要される被害が増えるおそれが指摘されています。

これを受け、政府は3月31日、関係府省庁による対策会議を開き、アダルトビデオへの出演を強要される被害を防ぐための緊急対策パッケージをまとめました。

それによりますと、若年層への教育や広報を強化するため、高校や大学などに情報を提供するほか、SNSを使うなどして直接、若者に出演を強要する手口を周知するとしています。

また、出演を強要された被害者を保護するため、民法や消費者契約法などのほかの規定によって契約を取り消すこともできることを広く周知徹底するとしています。

会議で野田女性活躍担当大臣は「出演強要問題は、被害者の心身に深い傷を残す重大な人権侵害だ。本人の意に反した出演の強要が増えるような事態は、何としても回避しなければならず、政府をあげて問題に取り組んでいく」と述べました。

岸田首相「政府内に対策の徹底を指示」

岸田総理大臣は衆議院本会議で「本日、アダルトビデオ出演強要問題緊急対策パッケージを決定し、こうした対策を政府内に徹底するよう指示した。性的搾取をするような行いは見逃さない、許さないという姿勢でしっかりと関係法令の施行に努め、被害の防止、被害に遭った方の救済を図っていく。さらに超党派で議論している立法措置の内容、議論の状況をしっかりとフォローアップしたうえで、政府としての対応も検討していきたい」と述べました。

立憲民主党 新成人のAV出演契約取り消せるよう法整備を

4月1日からの成人年齢の18歳への引き下げをめぐって、立憲民主党は、新たに成人となる10代がアダルトビデオへの出演を強要される被害を防ぐため、政府に対し、出演契約をあとから取り消せるようにする法整備を求める緊急提言をまとめました。

成人年齢の18歳への引き下げをめぐっては、新たに成人となる18歳と19歳が、親などの同意を得ずに結んだ契約であれば、原則、あとから取り消せる「未成年者取消権」が使えなくなることで、アダルトビデオへの出演を強要される被害が増えるおそれが指摘されています。

立憲民主党は、4月1日からの成人年齢の引き下げを前に会合を開き、塩村文夏参議院議員が、被害に遭った女性の手紙を読み上げました。

この中で女性は「親からの暴力やいじめを受ける中、路上で声をかけられて18歳のときにアダルトビデオの被害に遭った。生きるために出演したが、就職や結婚ができないといったことが一生続く。若年層は、福祉や啓発教育ではなく、法律でしか救えない。守ってほしい」と訴えました。

そして会合では、18歳と19歳がアダルトビデオの出演契約を結ぶ場合は「未成年者取消権」と同じ権利が行使できるようにする法整備などを求める緊急提言をまとめ、近く政府に申し入れることになりました。