「電力需給ひっ迫警報」
東京管内で継続 東北は解除

政府は東京電力管内に対して、23日も電力需給が予断を許さない状況にあることから「電力需給ひっ迫警報」を継続し、家庭や企業に節電を呼びかけています。

一方、東北電力管内へのひっ迫警報については、22日夜遅く解除しました。

今月16日の地震の影響で東京電力管内と東北電力管内に電力を送る複数の発電所が運転停止となり、供給力が低下しています。

また、22日は低気圧の影響で気温が下がって暖房需要が高まったことから電力需給がひっ迫し、大規模な停電につながるおそれがあるとして、政府は東京電力と東北電力の管内に相次いで「電力需給ひっ迫警報」を出し、節電への協力を呼びかけました。

東京電力は、ほかの電力会社から融通を受けたほか、家庭や企業から節電の協力が得られたことなどから政府は「昨夜の停電は回避することができた」と説明しました。

ただ、東京電力の管内では、23日も午前中は低い気温となる見込みで、電力需給がひっ迫する可能性があります。

予断を許さない状況だとして、政府は引き続き「ひっ迫警報」を継続し、家庭や企業に対して節電を呼びかけています。

一方、東北電力管内については、22日は十分な供給力が確保できる見込みとなったことから、昨夜11時すぎに警報を解除しました。

政府は引き続き、効率的な電気の使用を呼びかけていくことにしています。

東京電力管内 8時台で92%

東京電力によりますと管内の電力の供給力に対する需要の割合を示す「使用率」は午前8時台の実績で92%となりました。

火力発電所6機が停止 復旧に時間かかる見通し

東京電力管内と東北電力管内で運転を停止した火力発電所。

福島県と宮城県で震度6強の揺れを観測した地震の影響で合わせて6機が停止していて、復旧にはしばらく時間がかかる見通しです。

東京電力管内に電力を送る「JERA」の広野火力発電所の6号機は出力60万キロワットです。

会社によりますと電気設備などが壊れていて、復旧にはおよそ1か月がかかる見通しです。

また、東京電力と東北電力管内に電力を送る相馬共同火力発電の新地火力発電所の1号機は出力100万キロワットです。

石炭を陸揚げする設備が壊れ、復旧の見通しは立っていません。

一方、東北電力の原町火力発電所1号機は出力100万キロワットで、復旧はことし5月上旬頃を見込んでいます。

また、東北電力、新仙台火力発電所の3号系列の1号機は出力52.3万キロワットで、来月上旬頃の復旧を見込んでいます。

東京 新宿の家電量販店 商品の電源を切り節電

節電の呼びかけを受けて、東京 新宿区にある家電量販店では、店内に展示されている商品の電源を切るなどして節電を行っています。

このうち、テレビ売り場では200台のテレビを取り扱っていて、ふだんは電源を入れ、映像を映し出したままの状態で陳列しています。

節電の呼びかけを受けて、22日は半分ほどのテレビのスイッチをオフにしていて、電力の消費を抑えています。

いつもは鮮やかな映像を映し出すテレビが並んで明るい売り場ですが、22日は画面が真っ黒のテレビが目立っていました。

店では、テレビの映像を見比べたいといった申し出があった場合に、スイッチを入れることにしているいうことです。

また、この店舗を含め、首都圏などの店舗では、店内の暖房の設定温度を20度以下にしているということです。

ビックカメラ新宿西口店でテレビ売り場を担当する粕谷久幸さんは「商品を確認する際に電源が入っていないと少し不便に感じてしまうと思うが、希望があればテレビをつけるなどして無理のない範囲で対応することにした」と話していました。

羽田空港 ターミナルビル内の照明を消す

羽田空港の国内線ターミナルビルを管理する日本空港ビルディングによりますと、節電の呼びかけを受けて22日正午ごろから順次、国内線のターミナル内のフロアの照明を消しています。

到着ロビーでは、担当者が明るさを抑えた場合にどの程度、利用者に影響があるかを確認しながら照明を消していました。

空港内では「電力需給ひっ迫警報の発令に伴い、照明と空調の運転制御をしています」といったアナウンスが流れていました。

国内線のターミナル内では3分の1程度の照明を消すほか、空調の使用をふだんの半分に抑えているほか、事務所や店舗のバックヤードでも照明を消しているということです。

ディスカウントストアでは大型ビジョンの電源切る

東京 台東区にあるディスカウントストアでは、節電の呼びかけを受けて午前9時半ごろから、建物に設置されている大型のビジョンの電源を切っています。

縦3メートル、横6メートルほどの大型ビジョンでは、ふだんはお店の商品の情報や区役所からのお知らせなどを紹介していますが、22日は画面が真っ黒となっています。

この店では、少しでも節電に協力しようと、電源を切ることを決めたということです。

23日以降も節電への呼びかけがあれば、大型ビジョンを消すことを検討するとしています。

静岡 富士市役所 庁舎内の全暖房を停止

東京電力の管内にある静岡県の富士市役所では午前8時半の始業後、庁舎内のすべての暖房を停止しました。

庁舎内では「政府から電力需給ひっ迫警報が出されました。空調を停止します」とアナウンスが行われ、職員の中には寒さをしのぐため上着を着て仕事をする人の姿も見られました。

22日は気温が低くなっているため、市では、訪れる市民や職員などの体調を見ながら暖房の停止時間について、検討することにしています。

富士市役所では、日頃から市民が訪れない窓口の電気を消すなどの節電に取り組んでいるということですが、庁舎内では改めて職員に節電を呼びかけるアナウンスも行われていました。

富士市資産経営課の遠藤哲史さんは「年度末の業務が重なっているが、業務に支障がない範囲でできるかぎりの協力をしていきたい」と話していました。

また、市役所を訪れた男性は「家の電気をなるべく切るなどして少しでも節電に協力できればと思います」と話していました。

東京都内のデパート 空調の稼働抑え営業も

節電への協力が呼びかけられていることを受けて東京都内のデパートでは、店内の空調の稼働をふだんより抑えるなど節電をしながら営業を行っています。

東京 中央区のデパート「松屋銀座」では、政府が東京電力の管内に「電力需給ひっ迫警報」を出したことを受けて、22日は、店内の空調の稼働を抑えるため設定温度をふだんより3度ほど低いおよそ20度に下げて、営業を行っています。

これに伴い、施設の管理を担当する社員が店内を巡回し、売り場の責任者への聞き取りも行いながら、買い物客の反応などを確認していました。

また、売り場以外の社員の業務スペースでは、より一層の節電を呼びかけ、暖房を切ったり、人がいないスペースの電気を消したりして節電を行っていました。

買い物に訪れていた70代の女性は「冬の装いをしてきたのもあり、店内では肌寒さは感じなかった。これだけ電力が足りなくなっているのでお店でも節電への協力は必要だと思うし、自宅でも節電したい」と話していました。

デパートで施設管理を担当する田中康雅課長は「まん延防止等重点措置の解除に期待をしていたタイミングではあるが、事業者としての責任をしっかり果たしていきたい」と話していました。

節電のために できることは?

どうすれば家庭やオフィスで節電ができるのか?
資源エネルギー庁などは、次のような節電の方法をホームページで紹介し、改めて節電への協力を呼びかけています。

【暖房・エアコン】
▽暖房の設定温度を20度に下げる。

▽暖房の効果を上げるため、ドアの開け閉めは少なくする。

▽家庭では、床まで届く厚手のカーテンで熱の放出を防ぐと節電に効果的。

▽エアコンの室外機の吹き出し口に物を置くと電気を余分に消費してしまうため、物はどけておく。

【家電など】
▽冷蔵庫は開け閉めを少なく、開けている時間を短くする。

▽熱いものは、冷ましてから冷蔵庫に入れる。

▽長時間使わないときは、電気ポットのプラグを抜く。

▽洗濯物は自然乾燥にするか、まとめて乾燥機にかけて回数を減らす。

▽乾燥機のフィルターが詰まっていると乾燥時間が長くなり、余分に電気を消費するため、掃除しておく。

【家庭やオフィスでは】
▽トイレは、便座の暖房や洗浄水の温度を下げる。

▽熱が逃げるのを防ぐため、使わないときは便座のふたを閉める。

▽オフィスなどで使っていないパソコンやコピー機などは、コンセントを抜いておく。

▽部屋や廊下、通路で点灯する電気の数を減らす。

▽近い階の上り下りは、エレベーターを使わないようにする。