岸田首相 10万円相当給付
「クーポン原則も 柔軟に」

国会では、午後、衆議院で2日目の代表質問が行われました。
現金とクーポンによる18歳以下への10万円相当の給付をめぐって、日本維新の会は、全額を現金での給付に切り替えるよう求めたのに対し、岸田総理大臣は、現金とクーポンでの給付を原則としながらも、柔軟な制度設計を進める考えを示しました。

維新 馬場共同代表「全額現金に切りかえを」

▽日本維新の会の馬場共同代表は現金とクーポンによる18歳以下への10万円相当の給付をめぐり「最たる愚策で、クーポンでの支給に固執する理由が理解できない。このままでは自治体の事務がパンクしかねず、届くのは春どころか夏になる。いまからでも全額現金に切りかえる考えはないか」とただしました。

岸田総理大臣はクーポン給付は子育て関連の商品やサービスを直接届けられ、より効果的な支援が可能になるとしたうえで、「迅速性と政策効果の双方に目配りした仕組みであり、まずはクーポン給付を原則としながらも、地方自治体の実情に応じて、現金での対応も可能とする運用とし、地方自治体の意見を伺いながら柔軟な制度設計を進めていきたい」と述べました。

また、馬場氏は、国会議員に支払われるいわゆる文書交通費をめぐり「最大の問題は、領収書の公開義務がなく私的に流用されても放置されていることだ。『国会で決めること』などというお決まりの逃げ口上ではなく、自民党総裁、一国会議員としての答弁を求める」とただしました。

岸田総理大臣は「政治に要する費用や議員定数の問題などは、民主主義の根幹にかかわる重要な課題だ。国会で国民の代表の国会議員が真摯な議論を通じて合意を得る努力を重ねていくべきだ。私自身も国会議員の1人として合意に従う」と述べました。

10万円相当の給付 現金給付も可能

18歳以下への10万円相当の給付は11月19日に閣議決定された新たな経済対策に盛り込まれています。

この中では、児童手当の仕組みを活用して所得制限を設けて、「プッシュ型」で年内に5万円の支給を開始するとしています。

残りの5万円は、来年春の卒業・入学・新学期に向けて子育て関連の商品やサービスに使いみちを限定したクーポンを基本とした給付を行うとしています。

その一方で、「地方自治体の実情に応じて現金給付も可能とする」とも明記しています。

政府としては、経済対策の効果をあげるため、給付を貯金などに回さずに実際に使ってもらおうと、あくまで、現金とクーポンの給付に分けて実施したいとしています。

これに対して、各地の自治体の長からは、クーポンにすると、事務手続きに時間と経費がかかるなどとして全額現金で給付するという方針が示されています。

公明 石井幹事長「ポイント付与 早期に明確化を」

▽公明党の石井幹事長は、マイナンバーカードの取得などの段階に応じてポイントを付与する制度について「いつからポイントを使うことができるのかを、早期に明確化し地方公共団体による準備や運営に配慮すべきだ」と求めました。

岸田総理大臣は「マイナンバーカードを新規に取得した方などに対する最大5000円相当のポイントの付与は来年1月1日から開始することとし、その方針を自治体に速やかに伝える」と述べました。

また、石井氏は、アメリカや中国との関係について「早期に訪米し、バイデン大統領との首脳会談の実現を期待する。中国とは、米中関係の悪化や中国の軍事力増強、人権問題への懸念などの課題も山積する中、対話と実務協力を適切な形で積むことが重要だ」と指摘しました。

岸田総理大臣は「できるだけ早期に訪米してバイデン大統領と会談し、信頼関係を基礎に日米同盟の抑止力、対処力を一層強化していく。中国には主張すべきは主張し、責任ある行動を強く求めつつ、共通の課題には協力し、建設的かつ安定的な関係の構築を目指す」と述べました。

国民 玉木代表「外交的ボイコット 日本も検討を」

▽国民民主党の玉木代表は、北京オリンピックに政府関係者を派遣しない、「外交的ボイコット」について「アメリカ、イギリス、オーストラリア、そしてカナダが表明した。中国の人権問題を黙認する誤ったメッセージを国際社会に発しないためにも、日本も検討すべきではないか」とただしました。

岸田総理大臣は「深刻な人権侵害については省庁横断的に取り組むとともにアメリカなどの同盟国や同志国と緊密に連携して、しっかり声を上げていく。日本政府の対応については適切な時期に、諸般の事情を総合的に勘案し、わが国の国益に照らして、みずから判断したい」と述べました。

共産 志位委員長「給付金 収入減った人たち広く対象に」

▽共産党の志位委員長は、生活に困窮している人への給付金をめぐって「最大の問題点は、コロナで困窮している人への支援が住民税非課税世帯に限定され、困っている人に届かないことだ。ワーキングプアと呼ばれる方々でさえ、給付の対象外になってしまう。コロナで収入が減った人たちを広く対象に給付金すべきだ」と求めました。

岸田総理大臣は「今回の経済対策で住民税非課税世帯に対する給付金のほか、生活困窮者自立支援金の拡充や緊急小口資金などの特例貸し付けなどを講じる。新型コロナの影響を受けた方々に、様々な政策を通じて、広く重層的な支援を行っていく」と述べました。

岸田首相「外国人の新規入国 人道上配慮必要な人は検討」

一方、岸田総理大臣は、新たな変異ウイルス「オミクロン株」の水際対策に関連して「特段の事情による外国人の新規入国は厳格に運用する」とした上で外国政府関係者やワクチン開発の技術者のほか、日本人の配偶者といった人道上の配慮が必要な人などは検討の対象になるという認識を示しました。

また、慰安婦の問題をめぐり、政府の謝罪と反省を示した平成5年の河野官房長官談話について野党から韓国側に配慮した内容だとして修正を求められたのに対し、「政府の基本的立場は、談話を継承しているというもので見直しは考えていない」と述べました。

さらに、電波オークション制度について「電波の保有者も利用する事業者も、また一般の利用者もすべてにメリットがある形での周波数の割り当てのあり方を検討しており、来年夏をめどに取りまとめを行っていく」と述べました。

維新 馬場共同代表「政治的な判断に期待」

日本維新の会の馬場共同代表は記者会見で「10万円相当の給付については行政関係者が全国的に困っていて、現金の一括給付を表明する自治体が次々出てきている。『地方自治体の判断に委ねる』という答弁をいただきたかった。あす以降、何か政治的な判断をしていただけるのではないかと期待したい」と述べました。

公明 石井幹事長「クーポンにこだわらない」

現金とクーポンによる18歳以下への10万円相当の給付をめぐり、公明党の石井幹事長は記者団に、「クーポンでの給付は自民党からの提案を受け入れたもので、公明党がこだわっていることではない」と述べました。

18歳以下への10万円相当の給付をめぐり、政府は、対策の効果をあげるため、給付を貯金などに回さずに使ってもらおうと、現金とクーポンに分けて実施したい考えですが、自治体の長からは、クーポンでは、事務手続きに時間と経費がかかるなどとして全額現金で給付したいといった声も出ています。

公明党の石井幹事長は、国会内で記者団に対し「与党協議の中で、自民党から現金とクーポンに分けて支給したいという提案があり、それを受け入れたものだ。公明党がこだわっていることではない」と述べました。

その上で「現金とクーポンには、それぞれ長所と短所があり、最終的には自治体に、来年の卒業・入学シーズンに合わせて、クーポンを発行できるかどうかで判断してもらうということだ」と述べました。

国民 玉木代表「明確な答弁がなかった」

国民民主党の玉木代表は記者団に対し「10万円相当の給付は、どういう条件が満たされれば、自治体が全額を現金で給付できるのか、明確な答弁がなかった。今のままでは自治体に混乱が生じてしまうと思うのでさらに予算委員会でも聞いていきたい」と述べました。

共産 志位委員長「ことごとく答えない」

共産党の志位委員長は記者会見で「国政の基本問題について聞いたが、岸田総理大臣はことごとく答えない、答えられないという印象だ。これでは国会論戦が成り立たない。きょう提起した問題については今後もさまざまな委員会などで追及していく」と述べました。

10万円全額現金給付できる具体的ケース “予算成立後に示す”

現金とクーポンによる18歳以下への10万円相当の給付をめぐり、木原官房副長官は、自治体が全額現金で給付できる具体的なケースについて、今年度の補正予算案の成立後速やかに示したいという考えを示しました。

現金とクーポンによる18歳以下への10万円相当の給付をめぐり、岸田総理大臣は8日、全額現金での給付も可能としたうえで、自治体の意見を聞ながら具体的な運用方法を検討する考えを示しました。

木原官房副長官は9日の記者会見で「どのような場合に現金給付にすることができるか地方自治体の意見をうかがって具体的な運用方法を検討している。事業を実施しやすいよう自治体をサポートしたい」と述べました。

そのうえで、全額現金で給付できる具体的なケースを今年度の補正予算案の成立後速やかに示したいという考えを示しました。

大阪 松井市長「今月中の一括現金給付断念」

18歳以下への10万円相当の給付について、今月中に中学生以下に10万円を現金で一括して給付する方針を示していた大阪市の松井市長は、政府が方針を示すスケジュールが間に合わないとして、今月中に全額を給付することを断念すると明らかにしました。
現金とクーポンによる18歳以下への10万円相当の給付について、大阪市の松井市長は7日、中学生以下の子どもには今月中に全額現金で給付したいという考えを示していましたが、木原官房副長官は9日、全額現金で給付できる具体的なケースを今年度の補正予算成立後に示したいという考えを明らかにしました。
これを受けて、松井市長は9日の記者会見で「残念でしかたがない。予算が成立するのを待っていては間に合わない」と述べ、今月中に10万円を一括で現金給付するのを断念すると明らかにしました。
そのうえで、「予算成立後に基準を示すと言っているが、現金であればもう5万円分を来月にも支給ができる。細かい制約をかけずに自治体の判断にしていただきたい」と述べました。