自民・公明 税制改正
大綱決定に向け大枠固める

来年度の税制改正で、自民・公明両党の税制調査会は、賃上げに積極的な企業を支援する「賃上げ税制」について、法人税から差し引く控除率を、大企業で最大30%、中小企業で最大40%に引き上げることなど、主要項目の大枠を固めました。

来年度の税制改正の取りまとめに向け、自民党の宮沢税制調査会長と公明党の西田税制調査会長ら、両党の税制調査会の幹部が8日夜、東京都内で会談し、主要項目の大枠を固めました。

最大の焦点となっていた、賃上げに積極的な企業を支援する「賃上げ税制」について、法人税から差し引く控除率を、賃上げに向けた企業の取り組み状況に応じて、現在の15%から、大企業で最大30%、中小企業で最大40%に引き上げるとしています。

具体的には、大企業や中堅企業は、継続して雇用している従業員の給与の総額が、前の年度より4%以上増えた場合は控除率を25%とし、従業員の教育訓練費を前の年度より20%以上増やした場合には控除率をさらに5%拡大します。


また、中小企業は、雇用者全体の給与総額が2.5%以上増えた場合は控除率を30%とし、従業員の教育訓練費を10%以上増やした場合は控除率をさらに10%拡大するなどとしています。

一方、ことしの年末に期限を迎える「住宅ローン減税」は、制度を令和7年の入居分まで4年間延長したうえで、現在、年末時点のローン残高の1%としている控除率を0.7%に引き下げるとしています。

また、控除が受けられる期間については、新築住宅は13年間、中古住宅は10年間とします。

そして、控除対象の借り入れ限度額は、新築の環境性能に優れた住宅を優遇し、再来年の入居分までは、省エネやバリアフリーなどに配慮した「認定住宅」は5000万円、一定程度、省エネに配慮している場合は、性能に応じて4500万円か4000万円、それ以外の住宅は3000万円とするとしています。

このほか、新型コロナの影響を踏まえた固定資産税の負担軽減措置について、住宅地は、予定どおり今年度で終了する一方、商業地は、負担増の上限を、前の年度の2.5%までとするとしています。

一方、富裕層の金融所得への課税については「税負担の公平性を確保する観点から、外国の制度や市場への影響も踏まえ、総合的な検討を行う」などの文言が税制改正大綱に盛り込まれるものの、結論を得る時期は明記されない方向です。

自民・公明両党は、それぞれの党内の手続きを経て、10日に大綱を決定することにしています。

自民 宮沢税制調査会長“バランスとれた税制改正できるのでは”

自民党の宮沢税制調査会長は記者団に対し「今後、自民・公明両党で党内手続きを行い、中身はまだ確定したものではないので論評は少し早いが、課題に対し、バランスのとれた税制改正ができるのではないか」と述べました。
そのうえで「特に大手企業は相当な現預金が積み上がっている状況で、賃上げ余力はかなりある。賃上げが息切れしないためにも生産性を上げることをしっかりやっていただきたいので、企業の付加価値を上げるための努力を税制としてどう応援するかは、来年以降の議論の大きな柱になるだろう」と指摘しました。

公明 西田税制調査会長“成長と分配 両立目指す企業を後押し”

公明党の西田税制調査会長は、記者団に対し「新型コロナのオミクロン株や、原油の高騰など、経済の先行きに不透明感が漂う中で、来年度やそれ以降の税制の在り方を議論できたのは非常に充実した時間だった。成長と分配との両立を目指す企業を、税で後押ししていくという道筋ができた税制ではないか」と述べました。