国際線の新規予約停止を要請
12月末まで 国土交通省

新型コロナの新たな変異ウイルスの水際対策を強化するため、政府は、南アフリカと周辺国の合わせて10か国について、在留資格を持つ外国人の再入国も、原則として、2日以降、順次停止することを決めました。

新たな変異ウイルス「オミクロン株」の感染が各国に広がっているのを受けて、政府は、世界のすべての国や地域を対象に11月30日から、外国人の新規入国を原則、停止しています。

こうした措置に加え、政府は、水際対策をさらに強化する必要があるとして南アフリカに加え、アンゴラやザンビア、それにジンバブエやナミビアなど合わせて10か国について、在留資格を持つ外国人の再入国も、原則として、2日午前0時以降、順次停止することを決めました。

このほか日本人の帰国者などに、入国後一定期間、指定する施設にとどまってもらう「停留」の措置について、スウェーデン、スペイン、ナイジェリア、ポルトガルの4か国を対象に追加し、「停留」の期間を3日間としました。

これにより「停留」の対象は、合わせて48の国と地域に拡大されました。

松野官房長官「最新の科学的知見や諸外国の情報など収集」

松野官房長官は午前の記者会見で「オミクロン株に対しては、すでに水際対策に加えて、国内のサーベイランス体制の強化を都道府県に要請する対策を講じている。具体的には厚生労働省から都道府県に対し自治体主体で行う全ゲノム解析について、従来の実施率にとどまらず、現時点の検査能力を最大限発揮した実施を要請した」と述べました。

また「オミクロン株に対応した変異株PCR検査の手法の確立に取り組んでおり、準備ができしだい、各自治体に変異株PCR検査の実施を依頼する」と述べました。

そして「政府としては引き続き、ワクチン、検査、治療薬などの普及に取り組むとともに、最新の科学的知見や諸外国の情報などを収集しつつ、国立感染症研究所におけるオミクロン株の影響などの評価も踏まえ、適切に対応していく」と述べました。

また、松野官房長官は、これまで特段の事情がある場合に認めていた外国人の入国について「特段の事情による新規入国は、今回のオミクロン株の発生を受け、個別の事情を踏まえ、真に必要があると認められるものに限るなど厳格化して運用していくこととした。国費留学生などは、すでに当面の間、新規入国を停止したところだ」と述べました。

日本到着の国際線の新規予約停止を要請 12月末まで 国土交通省

新型コロナの新たな変異ウイルス「オミクロン株」の感染拡大に対する水際対策を強化するとして、国土交通省は、12月末までの1か月間、日本に到着するすべての国際線で新たな予約を停止するよう航空会社に要請しました。
対象には海外にいる日本人も含まれていて、予約を取っていない日本人が事実上、帰国できなくなることについて国土交通省は「緊急避難的な予防措置だ」と説明しています。

政府は、新型コロナの新たな変異ウイルス「オミクロン株」の感染が広がりを見せていることから、外国人の新規入国を原則停止したほか、一日当たりの入国者数の上限を3500人程度に引き下げるなど水際対策を強化しています。

国土交通省は、さらに対策を徹底するとして、航空各社に対し、12月末までの1か月間、日本に到着するすべての国際線の新たな予約を停止するよう要請しました。

日本を出発する便はこれまでどおり予約できますが、要請を受け、全日空と日本航空は、1日から到着便の予約の受付を取りやめる対応をとっています。

航空各社によりますと、海外に住む日本人が年末年始を国内で過ごすため、12月は到着便の予約が増えていたということです。

すでに完了している予約がキャンセルされることはないということですが、新規予約の停止要請の対象には海外にいる日本人も含まれていて、予約を取っていない日本人が事実上、帰国できなくなることについて国土交通省は「緊急避難的な予防措置だ」と説明しています。

そのうえで、今後の感染状況に応じて今回の要請を見直すこともあるとしています。

航空会社の関係者は、「新規の予約はいったん停止したが、今回の対応は厳しすぎるので、日本人だけでも入国できるよう今後、国土交通省と交渉したい」と話しています。

専門家「強すぎる措置だと思う」

海外での日本人の保護や危機管理などに詳しい、立教大学社会学部の長有紀枝教授は「日本人も含めて帰国者すべてが対象になるのは、今までに例がないと思われ、とても驚いた。日本人の保護の観点から、強すぎる措置だと思う」と話していました。

そのうえで、「今まで日本人の入国に際して、しっかりと隔離をする措置をとってきたので、これからも隔離を続けるなら、なぜ新たな予約ができなくなるのか理解に苦しむ。もちろんオミクロン株の排除は非常に重要な課題だが、邦人保護というのも日本政府として絶対にすべきことだ。日本人の保護をしながらオミクロン株に対処する方法もあるのではないか」と指摘しました。

航空会社の対応は

国土交通省からの要請を受けて全日空は、日本に到着する国際線の新たな予約の受け付けをいったん停止していて、会社のホームページでは、日本に到着する便の予約が検索できなくなっています。

また、日本航空も日本に到着する国際線の新たな予約を停止したことをホームページ上で周知していて、予約の検索もできなくなっています。

今回の措置に関して航空会社の関係者は、「水際対策は重要だが、日本人も含めて新たな予約ができないのは厳しい対応だ。感染状況を見ながら対応が緩和できないか今後、国土交通省と交渉したい」と話していました。

国土交通省の関係者は

国土交通省の関係者は、「すでに入っている予約の取り消しについては、航空会社から『それは勘弁してほしい』と強く言われている。新たな予約の停止についても邦人保護の観点から厳しすぎるのではないかという指摘もあると思うが、緊急避難的な予防措置として水際対策を徹底する政府全体の考えの中で要請した」と話しています。

成田空港の利用者は

出張先のアメリカから成田空港に帰国した会社員の男性は「予約ができないというのは驚きました。帰る予定だった日本人が現地にずっといることもできないので非常に困ると思います」と話していました。

また、アメリカで暮らす孫に会いに行って帰国した男性は「年末年始を日本で過ごしたいと考える人も多く、戻ってこられなくなるのはかわいそうだが、水際対策のためにはしょうがないと思う」と話していました。