演説参加者に旅費名目で現金
協会「買収の意図なく適正」

先の衆議院選挙の広島3区で当選した斉藤国土交通大臣が選挙期間中に行った個人演説を聴きに行くよう、広島県トラック協会の関連団体が会員企業に依頼し、参加した従業員に旅費名目で現金を支払っていたことが協会への取材で分かりました。協会は「有権者を買収する意図はなく適正だったと判断している」としています。

広島県トラック協会によりますと、関連団体の「広ト協政策研究会」は先月の衆議院選挙の期間中、会員企業に対し広島3区に立候補していた、公明党の斉藤鉄夫国土交通大臣が広島市内のホテルで行った個人演説を聴きに行くよう依頼し、出席した複数の従業員に旅費名目で現金を支払っていたということです。

協会は現金の支払いを認めたものの、具体的な人数や金額は明らかにしていません。

広島県トラック協会の森井茂人専務理事は「現金は旅費として支払い、有権者を買収する意図はなく適正だったと判断している」と話しています。

これについて斉藤国土交通大臣は24日「旅費については事務所も私も一切知らないことだ。団体には説明責任をお願いしたい」と話しました。

今回の衆議院選挙では、茨城県トラック協会の関連団体が、自民党の候補者に対する岸田総理大臣の応援演説を聴きに行くよう会員企業に依頼し、出席した従業員らに現金5000円を支払っていたことが明らかになっています。

松野官房長官「必要があればしっかりと説明するべき」

松野官房長官は、25日午前の記者会見で「昨夜、斉藤大臣が記者からの質問に答えて説明したと聞いている。私に対しては、きのう本人から連絡があり、取材で説明した内容について話があった。必要があれば、まずは関係者がしっかりと説明するべきものと考えている」と述べました。

公明党 北側副代表「進退という話にはならない」

公明党の北側副代表は25日の記者会見で「選挙運動期間中に演説会に参加する交通費という名目で金銭が交付されることは適切ではなく問題だ。ただ、斉藤大臣や事務所は全く知らなかったと理解しており、広島県トラック協会から説明がなされると認識している」と述べました。
そのうえで、斉藤大臣の進退について見解を問われたのに対し「自身が全く知らないことで、進退という話にはならない」と述べました。

共産党 志位委員長「大問題 公明党として調査を」

共産党の志位委員長は記者会見で「大問題だ。現職の閣僚なのだから、岸田総理大臣に対し、内閣として責任を持って事実関係を調査するよう求めたい。また、公明党に対しても、党としてきちんと調査をして、真相を国民に報告するよう求めたい」と述べました。