新しい資本主義実現会議
賃上げ企業の税制支援提言

政府の「新しい資本主義実現会議」は成長の実現に向け、大企業がベンチャー企業に出資した際の優遇税制の拡充などを検討することや、分配政策として、賃上げに積極的な企業に対し税制での支援を手厚くするなどとした緊急提言を取りまとめました。
「新しい資本主義実現会議」は「成長と分配の好循環」に向けて、内閣が最優先で取り組む課題を盛り込んだ緊急提言を取りまとめました。
それによりますと、格差の是正を図りつつ、長期的に持続可能な資本主義を構築し、すべてを市場に任せるのではなく、官民が連携し新しい時代の経済を創る必要があると指摘しています。
そして成長の実現に向け、優れた若い研究者が研究に専念できるよう生活費や研究費を継続的に支援し科学技術立国を推進するほか、2050年のカーボンニュートラルを実現するため、再生可能エネルギーの最大限の導入に取り組むとしています。
また大企業がベンチャー企業に出資した際の優遇税制の拡充などを検討するとともに、過疎地での自動配送ロボットなど、デジタルを活用した地域の自主的な取り組みを大規模な交付金で支援すると明記しています。
一方、分配の強化については、新規の雇用者ではなく継続的に雇用している人の給与を増やすことを要件に、賃上げに積極的な企業に対し税制での支援を手厚くすることを盛り込んでいます。
このほか、少子高齢化や新型コロナ対応の最前線となる看護や介護、保育などの現場で働く人の収入を増やしていくため、当面の措置として報酬を加算するとともに、公的価格の在り方の抜本的な見直しを検討するとしています。
政府はこれらの内容を、今月中旬に策定する新たな経済対策のほか、来年度予算案の編成や税制改正に反映させることにしています。
岸田首相「来春グランドデザインと具体化方策取りまとめ」
岸田総理大臣は「世界で、持続可能性や人を重視し、新たな投資や成長につなげる『新しい資本主義』の構築を目指す動きが進んでいる中、わが国がこの動きを先導していくために緊急提言として取りまとめを行った。真っ先に取り組む課題について今回の経済対策で実行に移すことで、早速新しい資本主義を起動していきたい」と述べました。
そのうえで「あす以降『新たな全世代型社会保障構築会議』『デジタル田園都市国家構想実現会議』『デジタル臨時行政調査会』の3つを立ち上げ、岸田政権の主要政策の具体化を進め、3つの会議での検討結果を統合したうえで、来春にグランドデザインとその具体化の方策を取りまとめ世界に向けて発信する」と述べました。