富裕層の金融所得への課税
見直しめぐり論戦 参院

国会では、参議院でも代表質問が始まり、立憲民主党の福山幹事長は、岸田総理大臣が、富裕層の金融所得への課税の見直しを来年度の税制改正では取り上げない考えを示したことを踏まえ、「ぶれすぎではないか」とただしました。

これに対し岸田総理大臣は「賃上げに向けた税制の強化などまずやるべきことがある」と反論しました。

▼立憲民主党の福山幹事長は、岸田政権が掲げる「新しい資本主義」をめぐり「自民党総裁選挙で強く主張した『令和版所得倍増計画』は、どこにいったのか。金融所得課税強化の旗も早速降ろし、いきなりぶれすぎではないか」とただしました。

岸田総理大臣は「『令和版所得倍増』は、所得を全体として引き上げるという、基本的な方向性を申し上げた。金融所得課税の見直しは、さまざまな分配政策の選択肢の一つとして掲げてきた。賃上げに向けた税制の強化など、まずやるべきことがある」と述べました。

また福山氏は、新型コロナ対策をめぐり「国民が知りたいのはワクチン接種のグランドデザインではないか。また、今後の第6波に向けてどれだけの量の経口治療薬を確保していくのか」とただしました。

岸田総理大臣は「3回目の接種は、早ければことし12月から開始することを想定して準備を進め円滑な実施に万全を期していく。自宅で使える飲み薬はコロナ対策の大きな決め手だ。国民の安全安心のため確保に最大限取り組んでいく」と述べました。

▼自民党の世耕参議院幹事長は、新型コロナ対策をめぐり「重症化させないことが国民の安心という観点から最も重要だ。中等症以下の患者を集約し、効率的に治療することが重要で、全国的に行うべきではないか」と指摘しました。

岸田総理大臣は「コロナ病床が十分に稼働しなかったことなどこの夏の反省も踏まえ、近日中にコロナ対応策の全体像の骨格を示すよう指示する。そのなかで、中等症以下の患者を対象とした臨時の医療施設や入院待機施設などの確保にもしっかりと取り組んでいく」と述べました。

また、世耕氏は、経済活動の再開をめぐり「『ゼロコロナ』になるまで経済の動きを再開しないのであれば経済が死んでしまう。接種証明などを活用した営業制限緩和について、どのようなスケジュールで進めていくのか」と問いました。

岸田総理大臣は「ワクチン接種証明は、速やかなデジタル化を目指しており、年内をめどに電子交付などの実現に向けた検討を進めていく。飲食やイベントなどの行動制限の具体的緩和の内容や時期は、接種証明などの活用に関する技術実証などを踏まえて早急に検討し、示していく」と述べました。

立民 福山幹事長 “総裁選公約から ぶれすぎていた”

代表質問を終えた立憲民主党の福山幹事長は、記者団に対し「率直に言って、拍子抜けするような答弁ばかりで、自民党総裁選挙で岸田総理大臣が公約したことからもぶれすぎていた。質疑を通じて、自民党と立憲民主党が考える日本のあるべき姿について、方向性の異なることがはっきりしたので、このことを衆議院選挙で国民に提示し、支持を訴えていきたい」と述べました。

自民 世耕参院幹事長 “コロナ対策の姿勢など伝わった“

自民党の世耕参議院幹事長は、記者会見で「新型コロナ対策に取り組む姿勢や決意、『新しい資本主義』の意味や中身が分かりやすく伝わったのではないか」と述べました。また、岸田総理大臣が、富裕層の金融所得への課税の見直しを来年度の税制改正では取り上げない考えを示したことについて「全体的な経済状況やマーケットの現状をみて、まずは所得を上げていくことを最優先に取り組む判断をしたということだ。タイミングを見て、いずれは踏み込んでいくのではないか」と述べました。