自民党総裁選 共同記者会見
4候補の政策や主張は

菅総理大臣の後継を選ぶ自民党総裁選挙に立候補した、河野規制改革担当大臣、岸田前政務調査会長、高市前総務大臣、野田幹事長代行の4人は、党本部でそろって記者会見に臨み、新型コロナウイルス対策や憲法改正などをめぐって論戦を交わしました。

自民党総裁選の争点

河野規制改革担当大臣は「直後に衆議院選挙もあり、国民からの支持が最大の争点になる。賃上げや年金改革、未来への投資で、国民に豊かになりつつあることを実感してもらうことが大事だ」と述べました。

岸田前政務調査会長は「何といっても自民党の信頼回復だ。中堅・若手の登用や役員の任期の明確化も打ち出している。自民党をより近代的な政党に変えていかなければいけない」と述べました。

高市前総務大臣は「国民の最大の関心事は、国民の命をいかに守り抜くかということだ。感染症だけではなく災害なども含めて今後、私たちが直面する様々なリスクの最小化への取り組みが争点になる」と述べました。

野田幹事長代行は「子どもが産まれてこなくなっている人口減少を真剣に考えるべきだ。抜本的に取り組むため、来年の通常国会では『こども庁』の設置法案を提出し 新しい日本を作っていきたい」と述べました。

新型コロナウイルス対策

河野氏は「ワクチンや治療薬などの対応ができているので『ウィズコロナ』でいける。治療が確立されるまでの間、人流抑制に協力してもらい、緊急事態宣言などから離脱できる。きちんと説明し、補償をしっかりした上で協力してもらうことが大事だ」と述べました。

岸田氏は「感染抑止については、ワクチン接種と経口薬をはじめとする治療薬の開発・普及が必須で、 この2つがそろうまでは、感染拡大抑止に徹していくことが重要だ。その期間を支えるために、数十兆円規模の経済対策を用意しなければならない」と述べました。

高市氏は「全くの『ゼロコロナ』は難しい。変異株の可能性もあり、収束には何年もかかるかもしれない。治療薬の開発やワクチン接種も進めながら、できるところから経済を動かしていく」と述べました。

野田氏は「インフルエンザにあってコロナに無いものは治療薬で、すぐに病院に行けるようにしていく。世の中にはさまざまな病気があるが、だからと言って経済を止めるわけにいかない。しっかりとバランスをとりながら両立に取り組んでいく」と述べました。

憲法改正

河野氏は「自民党は、自衛隊の明記や緊急事態対応など、4項目を挙げている。野党もいろいろな提案があるだろうから、そういうものを持ち寄って国会で議論し、まとまったものから進めていくのが大事だ」と述べました。

岸田氏は「時代の変化に対応した憲法改正を進めていくべきだ。自民党が掲げている自衛隊の明記などの4項目は、どれも現代的な意味で重要な課題で、次の総裁任期中に改正の実現を目指し、少なくともめどはつけたい」と述べました。

高市氏は「自民党が掲げている4項目の改正案には賛成で、危機管理条項と憲法9条を特に重視している。非常に厳しい安全保障環境や、大規模災害やテロなどが発生した場合を考えると、一定の制限がなければ国民の命は守りきれない」と述べました。

野田氏は「自民党が掲げる4項目は了承しているものの、項目にこだわらず、広く、国民の意見を頂きたい。使われていない日本語もたくさんあり、国民に分かりやすい憲法を示すことが肝要だ」と述べました。

安定的な皇位継承の確保

河野氏は「126代続いている日本の伝統を、次の世代に受け継いでいくことが非常に重要だ。政府の有識者会議が最終的に取りまとめるものを尊重したい」と述べました。

岸田氏は「例外なく男系天皇が継承してきた歴史や伝統、日本人の皇室に対する見方を考えた時に、女系天皇には反対だ。旧宮家の男系男子が皇籍に復帰する案も含め、方法を検討すべきだ」と述べました。

高市氏は「126代続いてきた男系天皇の血統は、天皇陛下の権威と正統性の源であり、世界の王室には類を見ないものだ。男系の維持のため工夫し、旧皇族の皇籍復帰を希望している」と述べました。

野田氏は「総裁選挙で皇位について、個人の意見を言うべきではないという立場だが、男系男子を続けていくことが難しい状況になっていることも事実だ。さまざまな選択肢を国民に届けていくことが大事ならば、1つの選択肢として、女系天皇は含まれる」と述べました。

「森友学園」をめぐる再調査の必要性

河野氏は「公文書は外交・安全保障だけでなく、内政面でも非常に大事なものだ。再調査の必要はないと思うが、関係された方の心の痛みには政治として向き合わなければいけない」と述べました。

岸田氏は「行政で調査が行われ、報告書が出されているし、司法でも裁判が行われている。国民の納得感が足りないのであれば、政治の立場から丁寧に説明をしていきたい」と述べました。

高市氏は「文書の改ざんやパワハラはあってはならず徹底して根絶する改革に取り組む。再調査は、現在、遺族が国などを相手取って提訴している状況なのでコメントできないし、すべきではない」と述べました。

野田氏は「公文書の隠蔽、改ざん、廃棄は絶対にあってはならず、かかわった方が命を落とした事実がある。多くの国民が納得していない中、信頼を回復するため、反省し、調査する必要がある」と述べました。

また、4人の候補は、総裁選挙後の政治日程について、臨時国会で総理大臣の指名選挙を行い、内閣を発足させたあと、所信表明などを行った上で、衆議院選挙に臨むことになるという見通しを示しました。