北朝鮮労働新聞が報道
「列車からミサイル発射」

北朝鮮メディアは、新たに組織された「鉄道機動ミサイル連隊」が15日中部の山岳地帯で射撃訓練を行い、列車から発射されたミサイルが800キロ先の日本海上の目標に正確に命中したと伝えました。

北朝鮮の朝鮮労働党機関紙、「労働新聞」などは、新たに組織された「鉄道機動ミサイル連隊」が15日の明け方、射撃訓練を行ったと伝えました。

それによりますと、射撃訓練は、北朝鮮中部の山岳地帯で行われ、ミサイルは800キロ先の日本海上の目標に正確に命中したとしています。

朝鮮労働党のパク・チョンチョン政治局常務委員が訓練を指導したとしていますが、キム・ジョンウン(金正恩)総書記が立ち会ったかどうかは明らかにしていません。

労働新聞に掲載された写真では、線路上の列車から、ミサイルがオレンジ色の炎を上げながら上昇していく様子などが確認できます。

パク政治局常務委員は、「脅威となる勢力に同時多発的に甚大な打撃を加えられる効果的な手段になる」としたうえで、「鉄道機動ミサイルのシステムを実戦に導入したことは戦争抑止力を強化する上で非常に大きな意義を持つ」と評価したとしています。

一方、日本政府は、北朝鮮内陸部から15日午後0時半すぎに弾道ミサイル少なくとも2発が東方向に発射され、能登半島沖の日本の排他的経済水域の内側に落下したと推定されるとしていますが、北朝鮮が発射したと発表したミサイルが同じミサイルを指すのかはわかっていません。

“EEZ内側に落下と推定” 岸防衛相

15日午後、北朝鮮から発射された弾道ミサイルについて、岸防衛大臣は、日本の排他的経済水域の内側の日本海に落下したと推定されると明らかにしました。

北朝鮮から発射された弾道ミサイルについて、政府は、15日午後0時32分と0時37分ごろ、内陸部から、少なくとも2発を東方向に発射し、発射直後の情報に基づいて排他的経済水域の外に落下したと推定されると発表していました。

これについて、岸防衛大臣は、今夜、防衛省で記者団に対し「発射された弾道ミサイルは、従来から北朝鮮が保有しているスカッドの軌道よりも低い高度、最高高度で約50キロメートル程度を、変則軌道で約750キロ程度飛しょうし、日本海上に落下したものと推定される」と述べました。

そして、落下地点について現時点では能登半島沖の舳倉島の北約300キロ程度の、日本の排他的経済水域の内側と推定されると明らかにしました。

そのうえで、岸防衛大臣は、「防衛省として引き続き、関連情報の収集と分析に努めるとともに、これまで以上に、警戒監視に万全を期していく。アメリカや韓国をはじめとして関係国と緊密に連携しながら、国民の命、平和な暮らしを断固として守り抜いていく」と述べました。

落下地点をEEZ内に修正 変則軌道で見極め困難

15日北朝鮮から発射された弾道ミサイルについて、政府は、推定される落下地点を、当初、日本の排他的経済水域の外側としていましたが、その後、内側と修正しました。防衛省は、ミサイルが変則的な軌道で飛行したため見極めが難しかったとしていて、今後、複雑化するミサイルへの探知能力の向上が課題だとしています。

北朝鮮から発射された弾道ミサイルについて、政府は、きのう午後0時32分と0時37分ごろ、北朝鮮内陸部から、少なくとも2発が東方向に発射され、落下地点は、発射直後の情報に基づき、日本の排他的経済水域の外側と推定されるとしていました。

しかし、その後、分析を進めた結果、落下地点は能登半島沖の舳倉島の北約300キロ程度の排他的経済水域の内側と推定されると修正しました。

防衛省は、今回発射されたミサイルは、低空を変則的な軌道で飛行したため、落下地点の見極めが難しかったとしています。

防衛省では、北朝鮮が変則的な軌道で飛行する弾道ミサイルの発射を繰り返し、ミサイル関連技術を着実に向上させているとして今後、複雑化するミサイルへの探知能力を向上させることが課題だとしています。

また、北朝鮮が、今月11日と12日に、新たに開発した長距離巡航ミサイルを発射したとしていることから、防衛省は、アメリカや韓国と連携して、分析を進めるとともに、警戒監視を強化することにしています。

国連安保理が緊急会合開催

北朝鮮が弾道ミサイルを発射したことについて、国連の安全保障理事会は15日、対応を話し合うため緊急の会合を開きました。

緊急会合は、フランスとエストニアの要請で開かれたもので、北朝鮮の弾道ミサイルの発射をめぐって安保理が会合を開いたのは、ことし3月以来です。

緊急会合を要請したフランスのドリビエール国連大使は、会合を前に記者団に対し、「発射は明らかな安保理の決議違反で、国際社会の安全と平和に対する脅威だ」と非難しました。

また、国連のデュジャリック報道官は15日の会見で、弾道ミサイルの発射に懸念を示したうえで「持続可能な平和と、朝鮮半島の完全かつ検証可能な非核化につながる唯一の道は、外交への関与だ」と述べ、北朝鮮は非核化に向けた関係国との対話を進めるべきだと強調しました。