アフガン 日本人などの退避
爆発受け輸送を慎重に判断へ

アフガニスタンに残る日本人などの国外退避をめぐり、防衛省・自衛隊は、首都カブールの空港付近で大規模な爆発が起きたことから、退避を求める人や隊員の安全が確保できるかなどを見極めたうえで、計画どおり輸送を実施するかどうかを慎重に判断することにしています。

自衛隊は活動拠点を置くパキスタンのイスラマバードに3機の輸送機を派遣していて、カブールとの間を往復し、退避を希望する日本人や大使館のアフガニスタン人スタッフなどを輸送する計画です。

アメリカ軍の撤退期限が今月末に迫まる中、輸送任務の関係者の間では実質的な活動期間は27日までになるという見方も出ていて、自衛隊としてはできるだけ多くの人をパキスタンに運びたい考えです。

ただ、日本時間の26日夜、カブールの空港のゲート付近で大規模な爆発が起きたことから、防衛省・自衛隊は現地の治安情勢を詳しく分析し、退避を求める人や隊員の安全が確保できるかなどを見極めることにしています。

そして、アメリカ政府などが「安全上の脅威がある」などとして空港周辺に近づかないよう呼びかける中、退避を求める人がどれぐらい空港にたどりついているのかを見たうえで、計画どおり輸送を実施するかどうかを慎重に判断することにしています。

米軍13人含む多数死者 バイデン大統領「軍の撤退計画通り」

アフガニスタンの首都カブールで起きた大規模な爆発についてアメリカのバイデン大統領は、過激派組織IS=イスラミックステートの地域組織が犯行に関与していたとして強く非難する一方、軍の撤退は計画どおり進める考えを強調しました。ただ、アメリカ軍の司令官は今後も攻撃が続く可能性があるとしていて、撤退が予定どおり進むのか予断を許さない状況です。

アフガニスタンでは26日、首都カブールの国際空港の入り口とその近くにあるホテルの周辺で大規模な爆発があり、現場にいたアメリカ軍の兵士13人を含む多くの死者が出ています。

さらに、複数の海外メディアによりますとアフガニスタン人の死傷者は、数十人に上るとみられています。

これを受けてホワイトハウスで記者会見を開いたアメリカのバイデン大統領は、過激派組織IS=イスラミックステートの地域組織が犯行に関わったとしたうえで「犯行に関わった者を見つけ出し代償を払わせる」と述べ、強く非難しました。

その一方で「20年にわたる戦争を終わらせる時だ」と述べ、アメリカ人や地元の協力者などの退避を今後も進め、今月31日の期限までにアメリカ軍の撤退を終える考えを改めて強調しました。

ただ、アフガニスタンを管轄するアメリカ中央軍のマッケンジー司令官は26日、記者会見で「今後も攻撃が続くと考えている」と述べ、現地の治安が不安定化する中で撤退が予定どおり進むのか予断を許さない状況です。

日本人に被害の情報はなし

外務省によりますと、アフガニスタンに残っている日本人や、退避の対応にあたるため派遣されている外務省や防衛省の職員や自衛官らにけがなどの被害が出たという情報は入っていないということです。

過激派組織IS系メディア「ISの戦闘員 自爆ベストを爆発させた」

26日、アフガニスタンの首都カブールの空港近くで起きた爆発について過激派組織IS=イスラミックステートとつながりのある「アマーク通信」は「情報筋によると、ISの戦闘員1人がアメリカ軍やタリバンによるすべての検問をかいくぐり、自爆ベストを爆発させ、およそ60人を殺害し、100人以上を負傷させた。およそ20人のアメリカ兵が死傷した」と伝えました。

ISの地域組織「ISISーK」とは

今回の爆発に関与したとされるのは「ISISーK」と呼ばれる組織で、過激派組織IS=イスラミックステートの地域組織です。

今月、アフガニスタンで権力を掌握した武装勢力タリバンよりも過激な組織とされていて、アメリカと和平交渉を行ったタリバンを批判し、たびたび交戦してきました。

この組織は、アフガニスタン東部のナンガルハル州を拠点として、2015年に設立されました。

アフガニスタンやパキスタンなどにまたがる地域がかつて「ホラサン」と呼ばれていたことからみずからをISの「ホラサン州」と位置づけています。

構成員にはパキスタン最大のイスラム過激派組織「パキスタン・タリバン運動」やアフガニスタンのタリバンの戦闘員が多く加わり、勢力を拡大し、組織の規模は最大で3000人ほどとされています。

アメリカ軍による軍事作戦で指導者などが殺害されましたが、その後も首都カブールなどで政府機関を狙った攻撃を続けているほか、市民や少数派のシーア派を狙った爆破テロを繰り返してきました。

米政府 過激派組織ISの地域組織の攻撃 強く警戒していた

アメリカ政府は、アフガニスタンの首都カブールの国際空港で、現地で活動する過激派組織IS=イスラミックステートの地域組織から攻撃を受けるおそれがあるとして強く警戒していました。

バイデン大統領は今月24日の記者会見で「過激派組織ISの地域組織が空港でアメリカや同盟国の軍の部隊、それに市民をねらって攻撃しようとしていることはわかっている」と述べていました。

また、ブリンケン国務長官は25日「われわれは、過激派組織ISの地域組織から実際に攻撃を受けるおそれがある非常に厳しい環境で、現地に暮らすアメリカ人や協力者などの国外退避を支援している。あらゆる予防措置を講じているが、危険性は非常に高い」と述べ、強く警戒していました。

国連 グテーレス事務総長「可能な限り最も強い言葉で非難する」

大規模な爆発で多数の死傷者が出たことについて国連のグテーレス事務総長は、日本時間の27日午前4時ごろ記者団の取材に応じ「カブールでの恐ろしいテロ攻撃について、可能な限り最も強い言葉で非難する」と述べました。

そのうえで、被害にあった人たちやその家族に哀悼の意を表明しました。

タリバン幹部「犯人に裁きを下す」

武装勢力タリバンの幹部で報道を担当するシャヒーン氏は26日、NHKの取材に対し「アメリカ軍が担当する地区で2回の爆発があったことを確認した。これまでに13人が死亡し、52人がけがをした。この恐ろしい出来事を遺憾に思い、あらゆる措置を講じて犯人に裁きを下す」とコメントしました。

目撃者「大きな煙が上がるのが見えた」

爆発を目撃したというアフガニスタン人の男性はNHKの取材に対し「爆発は空港の外で起きた。大きな煙が上がるのが見えた」と話していました。

また、現場の状況について男性は「爆発が起きたとき、多くの人で混雑していた。6、7人がけがをして運ばれているのを見た」と話していました。

男性は現地にあるイギリスの会社で仕事をしていて、イギリスのビザがあり、退避するために家族と一緒に空港の中に入ろうとしていたところ、爆発を目撃したということです。

けが人が次々と病院に

現地からの映像では、ストレッチャーに乗せられたけが人が次々と病院に運び込まれています。

現場にいたという男性は、地元メディアのインタビューに「突然の、とても強い爆発でした。多くの人が地面に投げ出され、外国人の兵士も倒れていました。当時、現場には少なくとも400人から500人ぐらいがいたと思います」と話していました。