30代1人暮らし基礎疾患なし
死亡“自宅療養中の把握困難”

東京都は、新型コロナウイルスの感染が確認された30代と70代の男性2人が死亡したことを明らかにしました。

このうち30代の男性は先月28日に陽性と確認されたときには微熱があり軽症でした。

自宅で療養を続けていましたが今月6日に連絡が取れないことを不審に思った家族が自宅を訪ねたところ、すでに死亡していたということです。

保健所による毎日の健康観察では特段、体調の変化はなく、亡くなる前日の5日には不眠を訴えていたものの、そのほかにの異常は確認されなかったということで、都は、容体が急変したと見ています。

男性は1人暮らしで基礎疾患はなかったということです。

これで、今回の第5波で自宅療養中に亡くなった人で都が把握したのは3人になりました。

都の担当者は「前日まで体調が安定していた人が亡くなる状況だ。改めて、怖い病気だという危機意識を共有し、感染防止対策に取り組んでほしい」と話しています。

これで都内で感染して死亡した人は2319人になりました。

栃木県でも 基礎疾患ない患者 自宅で死亡

栃木県は新型コロナウイルスに感染して死亡した患者2人のうち、1人は自宅で療養中だったと発表しました。

栃木県は11日、新型コロナウイルスに感染していた患者2人が死亡したと発表しました。

このうち1人は自宅で療養中で、10日、保健所が原則、1日2回かけている健康観察の電話に出なかったため職員が自宅を訪ねたところ、死亡しているのが確認されたということです。

県によりますと死亡した人に基礎疾患はなく、保健所は、9日の電話確認で「入院の必要なし」と判断していたということです。

県は、容体が急変したものとみています。

自宅療養 “容体の変化 患者自身が正確に把握難しい”

医療体制のひっ迫で、新型コロナウイルスに感染し、本来なら入院の対象となる患者でも自宅で療養するケースが増えていますが、重症患者の治療に当たってきた医師は、容体の変化を患者自身が正確に把握するのは難しく、頻繁に血液中の酸素の値などを測って症状が悪化しないか見る必要があるとしています。

厚生労働省が出している新型コロナウイルスの「診療の手引き」では、患者の重症度について、軽症、中等症1、中等症2、重症の4段階に分け、その判断や診療のポイントなどを示しています。

それによりますと、「軽症」は「パルスオキシメーター」で測る血液中の酸素の値が96%以上あり、せきは出ても息苦しさはなく、肺炎にはなっていない状態です。

自然に回復することが多いものの、病状が急速に進行することもあり、慢性の腎臓病や肥満など、重症化のリスクが高い患者は入院の対象となるとしています。

また、「中等症1」は血中の酸素の値が、93%から96%の間で、息苦しさや肺炎が認められる状態です。

中には酸素の値が低下しても、患者が息苦しさを訴えないケースもあるため、入院をしたうえで、慎重に観察することが求められるとしています。

さらに、「中等症2」は血中の酸素の値がさらに下がって93%以下で自力での呼吸が難しく、酸素投与が必要な状態で、高度な医療を行える施設への転院を検討するとしています。

そして、「重症」は肺炎が進行して、自力での呼吸ができず、全身に炎症が出たりする状態で集中治療室での治療や人工呼吸器を使った治療が必要な状態で、さらに容体が悪化すると、人工心肺装置=「ECMO」を使う場合もあるとしています。

感染の急拡大に伴う医療体制のひっ迫で、本来なら入院対象の中等症などの患者でも自宅で療養するケースが増えていますが、新型コロナウイルスの重症患者の治療についてまとめている「日本ECMOnet」理事長で埼玉県の専門病院、かわぐち心臓呼吸器病院の院長、竹田晋浩医師は容体の変化を患者自身が正確に把握するのは難しく、現状では頻繁に血液中の酸素の値を測って症状が悪化しないか、経過を観察する必要があるとしています。

竹田医師は「血液中の酸素の値がある程度保たれていても、息苦しさが増して人工呼吸器の管理が必要なケースもあり、患者が正確に状態を測るのは難しい。病床が足りない現状では患者さんがみずから、パルスオキシメーターで1日に何回も測ってもらって酸素の値が90%前半に下がらないか、注意してもらうしかない」と話しています。

小池知事「通常診療断るという声も」

東京都の小池知事は記者団に対して「全体の感染者も増えてきていて、重症が200人に近い数字だ。医療機関からは通常の診療を断ったり、手術を先送りしたりするなどの事態に陥るという声を聞いている。きょうは重症者のうち、50代が3分の1を占めている。40代もきのうから一気に9人増えている。基礎疾患を持っている方やタバコを吸っている方も気をつけていただきたい」と述べました。

自宅療養者支えるための緊急会議

新型コロナウイルスに感染した自宅療養者が急増するなか、東京都医師会などは緊急のオンライン会議を開き自宅療養者を支えるための課題について意見を交わしました。

新型コロナの感染拡大が続き自宅療養者が急増していることを受けて、東京都医師会は11日、都内の47の地区医師会や東京都、それに厚生労働省と緊急のオンライン会議を開きました。

このなかで、東京都医師会は保健所が中心に行っている自宅療養者の健康観察や容体の悪化による入院の必要性の判断などを発熱外来のある医療機関やかかりつけ医などにも可能な範囲で協力するよう求めました。

これに対し、地区医師会からは、入院が必要だと判断しても入院できない患者がいるので病床を増やしてほしいとか、入院患者に限って使用されている「抗体カクテル療法」という治療法を入院患者以外にも使用できるようにしてほしいといった意見が出されました。


会議のあと、東京都医師会の尾崎治夫会長は「課題は多いが自宅で重症化してそのままになってしまうようなことがないよう体制作りを進めたい」と話していました。