コロナ感染世界で2億人超え
「デルタ株」広がる

新型コロナウイルスの感染が確認された人が、世界全体で2億人を超えたことがアメリカのジョンズ・ホプキンス大学のまとめでわかりました。変異ウイルス「デルタ株」が広がり、感染拡大に歯止めがかからない状況が続いています。

アメリカのジョンズ・ホプキンス大学のまとめによりますと、新型コロナウイルスの感染が確認された人は、日本時間の5日午前6時の時点で、2億3万1896人となり、世界全体で2億人を超えました。

感染者が最も多いのは、
▽アメリカで3529万2721人
次いで、
▽インドが3176万9132人
▽ブラジルが1998万5817人となっています。

世界全体の感染者は、ことし1月下旬に1億人を超えましたが、そこから半年余りで2倍になりました。

背景にあるのが、感染力の強い変異ウイルス「デルタ株」が各地で広がっていることです。

このうちインドネシアでは、連日3万人から5万人の新たな感染者が確認され、死亡した人の数は4日までに10万人を超えました。

「デルタ株」の感染拡大を受けて、ワクチンの接種が進む中東やヨーロッパの各国は、3回目の接種を始める方針を相次いで示しています。

しかし、WHO=世界保健機関は、世界でこれまでに接種されたワクチンの80%余りは高所得国が中心だとして、途上国などでの接種を進めるため、9月末までは追加の接種を行わないよう呼びかけています。

世界最多のアメリカでは

新型コロナウイルスの感染者が世界で最も多いアメリカでは、感染力の強い「デルタ株」が広がっていて、特にワクチン接種が進んでいない南部や中西部の州などで感染者が急増し、医療体制がひっ迫する事態となっています。

このうち南部ルイジアナ州では、8月3日の時点で、1日の新規感染者数の7日間平均は4300人を超え、1か月前と比べておよそ9倍に増えました。

新たに入院する患者は300人を超え、およそ7倍になっています。

州都バトンルージュの病院では、入院患者数が急増し医療体制がひっ迫したことから、全米に支援を求め、各地から集まった30人を超える医師や看護師が治療にあたっています。

また、南部アーカンソー州では、ことし4月から7月までの間に、ワクチン接種の対象になっていない12歳未満を含む18歳未満の感染者数がおよそ5倍になっていて、保健当局は若年層の感染者が増えていることに警戒感を強めています。

アメリカでは18歳以上で、少なくとも1回のワクチン接種を受けた人の割合は70%に達していて、経済活動を再開する動きが広がっています。

ただ「デルタ株」による感染拡大の影響で、ニューヨークでは飲食店やスポーツジムなど、屋内の施設を利用する際にワクチン接種の証明書の提示が義務づけられるようになるなど、再び警戒感が強まっています。

ブラジル 新たに4万人超が感染も経済優先

新型コロナウイルスの累計の感染者数が世界で3番目に多い南米のブラジルでは4日、新たに4万人を超える人が感染していることが確認されました。

これまでに死亡した人の数は55万9607人にのぼっています。

ただ、ブラジル政府は感染の拡大が続く中でも経済を優先する姿勢を鮮明にしています。

人口が最も多いサンパウロ市は、8月中旬から飲食店や商店に対する営業時間の制限を解除する方針で、これを前に町の中心部では大勢の市民が買い物などに訪れ混み合っている様子が見られました。

また、主要都市の1つリオデジャネイロでも9月以降、サッカースタジアムの観客数の制限を順次、解除するということです。

ブラジルではワクチンの接種が完了した人が人口の20%程度にとどまっているほか、感染力の強い変異ウイルス「デルタ株」への感染も各地で確認されています。

現地の専門家は、ワクチンの接種が十分に進まない中での規制の解除が、さらなる感染拡大につながるおそれがあると懸念を示しています。

世界で1週間に400万人超が感染 日本の増加も要因

WHO=世界保健機関がまとめた報告書によりますと、世界では8月1日までの1週間の感染者数が合わせて400万人を超えました。

感染が再び拡大し始めた6月中旬と比べて、1週間あたりの感染者数はおよそ150万人増えています。

WHOは、日本を含む太平洋地域や、イラクをはじめとする中東などで感染者数が大幅に増えていることが理由だと分析しています。

このうち、太平洋地域では8月1日までの1週間の感染者数は、前の週から33%増えました。

WHOは、日本で1週間の感染者がおよそ6万人に達し、前の週から2倍以上に増えたことが要因の1つとしているほか、マレーシアでも感染が拡大しているとしています。

またベトナムで1週間に死亡した人の数が前の週の6倍を超える1000人近くとなるなど、死亡者が増えていると指摘しています。

一方、中東などではイランやイラクで感染が拡大した影響で37%増え、その数は46万3000人と、これまでで最も多くなったということです。

途上国中心にワクチン接種進まず

イギリス・オックスフォード大学の研究者などが運営するサイト「アワ・ワールド・イン・データ」によりますと、世界全体で新型コロナウイルスのワクチンを少なくとも1回接種した人の割合は、具体的な内訳が確認できない国や地域を除いて3月3日の時点で29.1%となっています。

接種した人の割合が高い主な国は、
▽UAE=アラブ首長国連邦が79.3%
▽ウルグアイが74.2%
▽カナダが71.7%
▽イギリスが69.1%
▽フランスが64.0%
などとなっています。

一方、接種した人の割合が低い主な国は、
▽ザンビアが1.6%
▽モザンビークが1.3%
▽カメルーンが1.1%
▽マリが0.7%
▽ベナンが0.4%
などとなっていて、所得の低い国を平均すると割合は1.1%にとどまっています。

WHO=世界保健機関は途上国を中心にワクチンの接種が進んでいないことが課題だとしていて、9月末までにすべての国で、人口の少なくとも10%がワクチンの接種を終えられるよう先進国などに対し、公平な配分への協力を呼びかけています。