吉川元農相 収賄事件初公判
無罪主張 現金受領も賄賂否定

吉川貴盛元農林水産大臣が、大臣在任中に広島県の大手鶏卵生産会社の元代表から賄賂を受け取ったとして、収賄の罪に問われている事件の初公判で、吉川元大臣は「現金を受け取ったことは争わないが、政治献金だと受け止めていた」と述べ、無罪を主張しました。

元農林水産大臣の吉川貴盛被告(70)は大臣在任中だった、おととしまでの2年間に、広島県福山市の大手鶏卵生産会社「アキタフーズ」の元代表 秋田善祺被告(87)から、大臣室などで3回にわたって現金、合わせて500万円の賄賂を受け取ったとして収賄の罪に問われています。

初公判は3日午後1時半から東京地方裁判所で始まり、去年12月に衆議院議員を辞職して以来、久々に公の場に姿を見せた吉川元大臣は、紺のスーツに水色のネクタイ姿で一礼をして法廷に入りました。

起訴された内容について、吉川元大臣は「現金を受け取ったことは争わないが、あくまで政治献金だと受け止めていた」と、用意した紙をはっきりとした口調で読み上げ、賄賂には当たらないとして無罪を主張しました。

一方で「現金を受け取りながら収支報告書に記載していなかったことは、不徳の致すところで大いに反省している」と述べました。

このあと検察は冒頭陳述で「秋田元代表は家畜の国際的な飼育環境の基準『アニマルウェルフェア』の考え方をもとにした飼育方法が義務化されれば、多くの養鶏業者が経済的打撃を受けると考え、便宜を図ってもらおうと現金を渡した。吉川元大臣はその目的を知りながら現金を受け取った」と主張しました。

これに対し弁護士は「元大臣は農林水産省が義務化に反対する立場だと知っており、便宜を図る必要はなく、元代表から期待されているとも考えていなかった」と反論しました。

次の裁判は来月13日に開かれます。