「黒い雨」裁判 原告への
被爆者健康手帳の交付始まる

広島への原爆投下の直後に降った放射性物質を含むいわゆる「黒い雨」をめぐる裁判で、原告全員を被爆者と認める判決が確定したことを受けて、原告への被爆者健康手帳の交付が、2日から広島市などで始まりました。

広島に原爆が投下された直後のいわゆる「黒い雨」を浴びて健康被害を受けたと住民などが訴えた裁判では、政府が先月26日、最高裁判所への上告を断念する方針を決め、原告全員を被爆者と認めた広島高等裁判所の判決が確定しました。

判決を受けて、原告への被爆者健康手帳の交付が2日から始まり、原告団長の高野正明さんなど7人が広島市役所で1人ずつ手帳を受け取りました。

そして、市の担当者から原則、医療費が無料になるほか、介護の手当てが受けられることなどの説明を受けました。

2日は、広島市や安芸太田町などで合わせて18人に手帳が交付され、今月6日の広島原爆の日までには、ほとんどの原告のもとに届けられる見通しだということです。

高野さんは「長年の希望だった手帳を手にすることができ、感謝している。原告のうち訴えを取り下げた人も含め19人が亡くなっていて、手帳の交付は重たいと受け止めている。原告以外で黒い雨を浴びた人たちにも速やかに交付されることをお願いしたい」と話していました。