尾身会長ら提言案 五輪・パラ
“無観客が最もリスク少ない”

東京オリンピック・パラリンピックをめぐり政府の分科会の尾身会長ら専門家による提言案が判明しました。感染拡大を防ぐ観点から無観客での開催が最もリスクが少ないとする一方、観客を入れる場合には現行の大規模イベントよりも厳しい基準に基づいて行うべきだとしています。

東京大会をめぐり、政府の分科会の尾身会長は感染症の専門家として新型コロナウイルスの感染リスクなどに基づいた見解を関係者に伝えたいとして提言の取りまとめを進めています。

判明した提言案では首都圏の人流が増加の一途をたどっており、7月にかけて感染が再拡大する蓋然性が高いと考えられると指摘しています。

そのうえで夏場は旅行や帰省で人々が長距離の移動を行うため感染が落ち着いた地域でも急に感染拡大する可能性が高まるのに加え、オリンピックの開催を契機に人の流れや接触機会が増えることで全国に感染が拡大し、8月下旬には医療提供体制への負担が発生するリスクがあると警戒感を示しています。

このため政府に対し、6月下旬以降も継続して強力な感染対策を行い、大会期間中に医療がひっ迫する可能性が高まった場合には時期を逃さずに強い対策をちゅうちょなく取るよう求めています。

また、大会主催者には無観客開催が最も感染拡大リスクが少ない方法だとする一方、観客を入れるのであれば現行の大規模イベントよりも厳しい基準に基づいて行うべきだとしています。

さらに、都道府県を越えた人の流れを抑えるため観客は開催地の人に限ることや、感染が拡大し医療がひっ迫するような状況が見込まれる場合には時期を逸しないで無観客に変更するよう求めています。

このほか、パブリックビューイングや応援イベント、街角の大型ビジョンでの中継放映などを中止し、応援を目的とした飲食店での観戦などの自粛要請を検討するよう求めています。

尾身会長は、こうした内容を盛り込んだ提言を組織委員会と政府に申し入れることにしています。