中国人民解放軍指示疑いの
サイバー攻撃 自治体などに

中国人民解放軍の指示を受けたハッカー集団が関与した疑いがあるサイバー攻撃で、岐阜県などの自治体や大阪のテレビ局も攻撃を受けていたことが分かりました。いずれも同じパソコン管理用のソフトを使っていて、警視庁は、中国側がソフトの欠陥を把握したうえで情報を盗み取ろうとした疑いがあるとして捜査しています。

2016年から2017年にかけて、中国人民解放軍の指示を受けたハッカー集団が、日本のおよそ200の企業や研究機関などに対し、大規模なサイバー攻撃を行っていた疑いが明らかになり警視庁は先月、レンタルサーバーを偽名で契約していた中国人の男を書類送検しました。

これまでに、JAXA=宇宙航空研究開発機構や、大手電機メーカーなどがサイバー攻撃を受けたことが分かっていますが、新たに岐阜県など複数の自治体や、大阪のテレビ局にも攻撃が行われていたことが関係者への取材で分かりました。

いずれも組織内のパソコンを管理する同じソフトを導入していたということで、NHKの取材に対して「情報の流出は確認されていない」としています。

警視庁は、中国側がソフトの欠陥を把握したうえで、最新技術を持った企業などだけでなく、日本の幅広い対象から情報を盗み取ろうとしていた疑いがあるとして捜査しています。

岐阜県「情報のセキュリティー強化に努めたい」

岐阜県では、県庁内で使うパソコンを管理するソフトを2013年から導入しています。

県によりますと、先月、警察から使用しているソフトのバージョンについて問い合わせがあり、問題がないか改めて確認したということです。

情報の流出などは確認されていないとしています。

岐阜県情報システム課の早川充洋係長は「中国側から狙われる心当たりは全くないが、サイバー攻撃の脅威を改めて感じている。今後、行政機関でもデジタル化がさらに進められるが、県民に安心してもらうためにも、情報セキュリティーの強化に努めていきたい」と話していました。

専門家「攻撃を受けた場合のダメージ最小限に抑える対策重要」

サイバーセキュリティーに詳しい岩井博樹さんは、「攻撃側は日本国内の大手企業や官公庁の多くが利用しているソフトを調べて分析し、セキュリティーの欠陥を悪用したとみられる。幅広く網をかけ、あとで標的を選んで侵入するという手口とみられていて、今後も同様の攻撃が増えるおそれがある」と指摘しています。

そのうえで、「サイバー攻撃の手口は年々巧妙化していて、攻撃を100%防ぐことは難しい状況だ。攻撃を受けた場合のダメージを最小限に抑えるための対策を日頃から進めることが重要だ」と話しています。