【詳細】過去2回と違いは?
大阪 3回目の宣言その内容

感染の急拡大に歯止めがかからない大阪府。20日は1153人の感染確認が発表され火曜日としては最も多くなり、府は緊急事態宣言の発出を国に要請することを決定しました。
3回目となる宣言は過去2回の時と比べてどのような内容になるのか、最新の情報です。

「“まん延防止措置” 効果が不十分」

大阪府は府内での新型コロナの感染の急拡大に歯止めがかからず、医療のひっ迫度合いも深刻さを増している状況を受け20日午後、対策本部会議を開きました。

この中で吉村知事は「医療が極めてひっ迫している状況を考えると『まん延防止等重点措置』だけでは効果が十分ではない。変異株の感染拡大力や重症化率の高さなどを考えると緊急事態宣言の発出を要請すべきだ」と述べました。

また、会議では「まん延防止等重点措置」が適用されてから2週間ほどが経過した現在も依然、感染拡大が続いていることや、重症病床の運用率や感染経路の不明者の割合など感染状況を示す指標のうち、ほとんどの指標が最も深刻な「ステージ4」になっていることなど、府内の深刻な感染状況が報告されました。

そして、さらなる感染拡大を食い止めるためには「まん延防止等重点措置」より強い対策を講じる必要があるとして緊急事態宣言の発出を国に要請することを決定しました。

“宣言”の期間 3週間から1か月

会議のあと吉村知事は記者団に対し、宣言の期間について3週間から1か月が適切だという考えを示しました。

また、吉村知事は宣言が発出されれば人出を抑えるため、百貨店や商業施設それにテーマパークなど規模の大きな集客施設を中心に休業を要請したいとして、具体的な措置について国との調整を急ぐ考えを示しました。

3回目の“宣言” これまでと何が違う?

大阪府が国への要請を決めた緊急事態宣言。3回目となる今回の宣言が出された場合どんな措置が検討されているのか、これまで2回の宣言と比較してみます。

赤で示したのが「休業」などの措置。
青が「時短営業」などです。

去年の1回目の宣言の時には「休業」などが幅広く行われました。
一方、2回目の宣言では青で示した「時短営業」などが多くなっています。

そして、3回目となる今回はまだ検討段階ですが、2回目よりも強い措置となりそうです。

飲食店. 休業要請 酒類提供中止など

まず、飲食店は過去2回、時短営業の要請となっていましたが、今回はより強い措置が検討されています。

具体的に
1. 「すべての飲食店に休業を要請する」
2. 「土日・祝日は休業を要請し平日は午後8時までの営業としたうえで酒類の提供はしない」
3. 「休業の要請はしないものの営業時間は午後8時までで酒類の提供はしない」の3つの案で
府はこれを国に提案していて調整を急ぐとしています。

大規模施設. 休業要請へ

また、吉村知事は規模の大きな商業施設や遊興施設にも休業要請を行う考えを示し、具体的には▽大規模な百貨店▽商業施設▽ショッピングモール▽地下街▽大きな映画館▽テーマパークなどをあげました。

その理由について吉村知事は「これまでクラスターは発生していないが人が大きく集まり人の流れが生まれることでそのあとの行動などが感染の原因となる。飲食店の時短営業だけでは不十分だ」と述べて理解を求めました。

学校. 一斉休校は行わず

一方、小中学校や高校については1回目のような一斉休校は行わず、通学に不安のある子どもにはオンラインでの学習支援を行うことなどを検討しています。

兵庫も“宣言”要請で最終調整

一方、深刻な感染拡大が続く兵庫県では427人の感染が確認され、大阪府と同様に火曜日としてはこれまでで最も多くなり、県は国に対して兵庫に緊急事態宣言を出すよう要請する方向で最終調整に入りました。

21日に対策本部会議を開いて宣言の要請を正式に決めることにしていて
▽対策を強化するエリアや
▽休業要請の対象など具体的な措置について議論することにしています。

さらに、大型連休に向けて
▽県民に対し不要不急の外出や帰省を自粛するよう要請するほか
▽デパートなどに対してバーゲンセールや催し物を自粛や延期するよう求めることにしています。

井戸知事は19日「兵庫と大阪は同一交流圏であり、大阪が基本方向を決めたことを踏まえて議論を進める」と述べていて、緊急事態宣言の発出要請を決定した大阪府と連携して国との調整を急ぐことにしています。

医療ひっ迫 変異ウイルスで若い世代でも重症化…

一方、関西では感染力の強い変異ウイルスがほとんどを占めるようになってきた中、気になる調査結果も明らかになりました。先月以降、最も重症化して人工心肺装置=ECMOを装着された患者の半数は50歳以下で、年齢が大幅に下がっていることがこの治療についてまとめている団体の調べで分かりました。

新型コロナウイルスの重症患者の治療についてまとめている「ECMOnet」は大阪府、兵庫県、京都府、奈良県、和歌山県、滋賀県、三重県の7府県の医療機関で行われた治療について18日までのデータを分析しました。

それによりますと、ECMOを装着した重症患者は
▽去年以降ことし2月末まででは37歳から83歳の合わせて106人で半数は66歳以下でしたが
▽先月以降は30歳から77歳の合わせて22人で半数の患者が50歳以下と年齢が下がっていることがわかり
年齢の中央値はこれまでより16歳低くなっていました。

関西では感染力の強い変異ウイルスがほとんどを占めるようになっていて、比較的若い世代でも重症化することが見えてきているとしています。

竹田晋浩医師(「ECMOnet」代表)
「重症化する年齢が下がっていることは明白だ。高齢者に限らず重症化するということは、これまでよりも早く医療がひっ迫しやすいということで一日も早く感染者を減らすことが何より重要だ」

東京 700人超の感染確認… 今週中にも“宣言”要請を検討

一方、東京都では711人の感染が確認されました。火曜日に700人を超えるのはおよそ3か月前の1月26日以来で、1週間前の火曜日からは201人増えました。

東京都内で感染確認の増加傾向が続く中、東京都は早ければ今週中にも緊急事態宣言を出すよう要請する方向で検討しています。

小池知事は20日午後、自民党の二階幹事長と会談し都内の感染状況などについて説明しました。

会談のあと小池知事は記者団に対して「変異ウイルスの拡大のスピードに遅れてはいけないという危機感を持っている。ゴールデンウィークを前にして、このタイミングをどう生かしていくかしっかり国と連携しながら、都民の命と健康そして経済の確保ということを総合的に考えていきたい」と述べました。

“宣言”発出めぐり政府は?

加藤官房長官「実効性のある措置を検討」

加藤官房長官は午後の記者会見で「どのような実効性のある措置を講じるか、引き続き自治体とも緊密に連携しながら専門家の意見も踏まえしっかり検討を進めていきたい」と述べました。

そのうえで記者団が「大阪に緊急事態宣言を出す場合は兵庫や京都を含めた関西圏一体を対象に検討するのか」と質問したのに対し「現時点で方向性を決めている訳ではない。それぞれの自治体の知事と西村経済再生担当大臣との間でさまざまな情報を共有し、意見交換を行っている」と述べました。

一方「東京都に宣言を出すかどうかは大阪と同時に判断するのか」と問われたのに対し「一連の手続きがあるので極端な例を言えば毎日ということは想定されないと思うが、地域の実情を踏まえて機動的に対応するという側面もあるので、そういったことも踏まえて考えなければならない」と述べました。

西村経済再生相「ちゅうちょしてはならない」

西村経済再生担当大臣は閣議のあとの記者会見で、大阪府から緊急事態宣言の要請があれば速やかに検討するとしたうえで「国民の命を守るために必要があれば宣言をちゅうちょしてはならない」と述べました。

この中で西村経済再生担当大臣は、大阪の状況について新規感染者数は人の流れが減って伸びが鈍化しているものの、依然として高い水準で推移しており、このままの状況が続けば病床がさらにひっ迫する極めて緊張した状況にあると説明しました。

そして、大阪府から緊急事態宣言の要請があれば速やかに検討するとして「対策を強化しないと感染者を減らせないので飲食店や商業施設などへの対策の強化などを含め府や専門家の意見を聴きながら検討を急いでいる」と述べました。

また、東京都については「人の流れが減っていないことと、来月にはすべて変異株に入れ代わるだろうという予測が専門家からなされていることを考えれば対策の強化が必要な状況にある。早急に対応を協議したい」と述べました。

そのうえで西村大臣は、大阪や東京への緊急事態宣言の発出について「国民の命を守るために必要があれば宣言をちゅうちょしてはならない」と述べました。

萩生田文部科学相「一斉の休校は慎重に判断すべき」

新型コロナウイルスの感染拡大に伴う学校現場の対応について、萩生田文部科学大臣は閣議のあとの記者会見で、地域一斉の休校は学びの保障や子どもたちの心身への影響などの観点から真に必要な場合に限定し、慎重に判断すべきだという考えを強調しました。

この中で萩生田文部科学大臣は、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う学校現場の対応について「地域一斉の臨時休校については学びの保障や子どもたちの心身への影響、また子どもを持つ医療従事者が仕事を休まざるをえなくなることなどの観点も考慮する必要がある。そのため真に必要な場合に限定し、慎重に判断すべきだ」と述べました。

また、大阪市の松井市長が大阪府に緊急事態宣言が出された場合、市立の小中学校の授業を原則、自宅でのオンライン授業に切り替える考えを示したことについて「休校となれば親が仕事を休むことなどへの二次的な対応が必要になるので、そういうことも先回りして学校を開けておいて、オンライン授業とのハイブリッドを想定した発言なのではないか。詳細はいま確認している」と述べました。

立民 枝野代表「政府はすでにちゅうちょしまくっている」

立憲民主党の枝野代表は党の常任幹事会で「政府側からはちゅうちょなく対応するという発言が出ているが、すでにちゅうちょしまくっている。これ以上、失敗を繰り返させてはならない。われわれはより厳しい水際対策と検査の徹底などで感染者を一定程度まで抑える『ゼロコロナ戦略』を訴えてきているが、実現させなければならないと改めて強く感じている」と述べました。

国民 玉木代表「学校の一斉休校など行う必要ある」

国民民主党の玉木代表は記者団に対し「緊急事態宣言は大阪と同時に東京や首都圏にも出すべきだ。飲食店に限らない営業停止や学校の一斉休校なども行う必要があり、その際は万全の補償もセットで実施するよう求めたい」と述べました。
そのうえで「もし宣言が出るのであれば社会全体に大きな影響が生じる。現役世代への一律の10万円の給付や、低所得者への20万円の給付を行うため今年度の第1次補正予算案を編成すべきだ」と述べました。