温室効果ガスの排出量
過去最少を更新

2019年度に国内で排出された温室効果ガスの量は、12億1200万トンで、6年連続で前の年度を下回って過去最少を更新しました。

環境省の発表によりますと、2019年度に国内で排出された温室効果ガスの量は、二酸化炭素に換算して12億1200万トンでした。

6年連続で前の年度を下回り、算定を始めた1990年度以降で最も少なかった2018年度より3560万トン、率にして2.9%減って過去最少を更新したということです。

環境省は鉄鋼や機械などの製造業で生産量が減少し、エネルギーの消費量が減ったことや、太陽光や地熱といった再生可能エネルギーの利用が拡大したことなどを理由に挙げています。

政府は2050年までの「脱炭素社会」の実現を目指していますが、この6年のペースで排出量が減ると仮定しても2050年度の削減率は80%ほどにとどまり、排出量はゼロにはならないということです。

小泉環境大臣は閣議の後の記者会見で、「6年連続の排出量削減は国民の取り組みが反映されたもので評価されるべきだが、このペースでは楽観視はできない。『2050年カーボンニュートラル』に向けて、今後、再生可能エネルギーをどこまで、どういうスピード感で導入できるのかが、決定的に重要なポイントだ」と述べました。

菅首相 意欲的な目標 早期に

脱炭素社会の実現に向けて、菅総理大臣は政府与党連絡会議で、一連の国際会議に合わせて主要国が2030年の温室効果ガスの削減目標を発表すると見込まれているとして、意欲的な目標をできるだけ早く打ち出すため検討を急ぐ考えを示しました。

この中で、菅総理大臣は「来週22日にアメリカが主催する気候変動サミット、6月にイギリスでG7サミット=主要7か国首脳会議が予定されており、そうした日程に合わせて主要国が2030年の温室効果ガスの削減目標を発表すると見込まれている」と指摘しました。

そのうえで、日本としても2050年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロとする「カーボンニュートラル」と整合性のとれた意欲的な目標をできるだけ早く打ち出し、国際社会の議論をリードしていく必要があるとして検討を急ぐ考えを示しました。

一方、12日から始まった新型コロナウイルスの高齢者へのワクチン接種について、来月23日までにおよそ半数の高齢者に1回目の接種ができる量を、6月末までにすべての高齢者に2回接種できる量を、各自治体に届ける方針を示しました。