東京 京都 沖縄に「まん延
防止」12日から適用決定

新型コロナウイルス対策をめぐり政府は、来週12日から東京、京都、沖縄の3都府県に「まん延防止等重点措置」を適用することを決定しました。「重点措置」の適用は6都府県に拡大されることになります。

菅首相「期間と区域限って緊急事態宣言並みの強い措置を実施」

政府は9日夜6時すぎから総理大臣官邸で菅総理大臣をはじめ西村経済再生担当大臣や田村厚生労働大臣らが出席して新型コロナウイルス対策本部を開きました。

そして東京、京都、沖縄の3都府県に「まん延防止等重点措置」を適用し、期間は来週12日から京都と沖縄は来月5日まで、東京は来月11日までとすることを正式に決定しました。

菅総理大臣は「新規感染者数が増加しており医療提供体制のひっ迫が懸念されていることなどを踏まえて決定した。午後8時までの飲食店の時間短縮を行い、罰則を適用できるようにするなど期間と区域を限って緊急事態宣言並みの強い措置を実施する」と述べました。

そのうえで「感染力の強い変異株は大阪、兵庫では感染者の7割前後を占め、東京ではおよそ2割まで高まっており最大限の警戒を続けていく」と強調しました。

飲食中心とする対策 高齢者施設で検査や医療体制確保も

また、
▽飲食を中心とする対策に加え
▽不要不急の都道府県間の移動は極力控えることを促すほか
▽飲食店への見回りや
▽高齢者施設での定期検査
▽医療体制の確保などに自治体と連携して取り組む考えを示しました。

そして菅総理大臣は「今後も各地で発生する波を全国規模の大きな波にしないように地域を絞った重点措置を機動的、集中的に講じて感染を抑え込んでいく」と述べました。

「重点措置」適用 6都府県に拡大

3都府県の知事が決める「重点措置」の対象地域は、
▽東京は23区と八王子、立川、武蔵野、府中、調布、町田の6つの市とするほか
▽京都は京都市
▽沖縄は那覇市など沖縄本島の9つの市になる見通しです。

これによって「重点措置」が適用されるのは大阪、兵庫、宮城の3府県から、東京、京都、沖縄を加えた6都府県に拡大されることになります。

菅首相「“宣言”に至らないよう感染防止に努めたい」

東京、京都、沖縄に「まん延防止等重点措置」の適用を決定したことについて、菅総理大臣は緊急事態宣言の発出に至らないよう集中的な対策を講じることで感染の再拡大を抑え込みたいという考えを示しました。

菅総理大臣は9日夜、政府の新型コロナウイルス対策本部のあと総理大臣官邸で記者団の取材に応じました。

この中で、菅総理大臣は東京、京都、沖縄の3都府県への「まん延防止等重点措置」の適用を決定したことについて「新規感染者数が増加し病院提供体制のひっ迫が懸念されることから、専門家と相談させていただいたうえで決定した」と説明しました。

そのうえで「飲食店の午後8時までの営業時間の短縮や罰則の適用、すべての飲食店の見回りなど集中的な対策を講じることで、緊急事態宣言に至らないよう感染防止に努めたい」と述べました。

そして変異ウイルスへの対応について「変異株といえども基本的な感染防止対策は変わりない。マスクの着用や手洗い、3密の回避、不要不急の都道府県間の移動の自粛についてお願いさせていただいている。警戒感を持って対応したい」と強調しました。
また、大型連休中の対応について「『重点措置』の期間には、大型連休が入っており、そういう中で、やはり不要不急の移動は極力避けていただきたい」と述べました。

さらに、記者団が「感染が拡大した場合、3度目の緊急事態宣言を出す考えはあるのか」と質問したのに対し「宣言に至らないよう、罰則を適用できる『重点措置』を講じるわけで、徹底して警戒しながら、新規感染者が増え始めた場所や病院の状況を踏まえ、先手先手で対策を打っていきたい」と述べました。

一方、首都圏の埼玉、千葉、神奈川の3県への対応について「感染状況と、3県の知事と相談させていただきながら、今回は『重点措置』の適用は控えた。いずれにしろ、警戒感を持ってあたっていきたい」と述べました。

政府分科会 尾身会長「首都圏3県も含めるべきとの意見も」

「まん延防止等重点措置」を適用する地域について、政府の分科会の尾身茂会長は、9日夜の記者会見で「東京を重点措置の対象にする以上、生活圏を同じくする埼玉、千葉、神奈川も含めるべきではないかという意見もあった。緊急事態宣言よりも機動的に先手を打つことができるのが重点措置の特徴なので、各県の東京都に接する地域などで状況が悪くなれば遅れることなく適用を検討するべきだと考えている」と述べました。

そのうえで、今後求められる対策について「ガヤガヤしている場所に行かないでほしいということをさらに強調するべきだという意見があった。また県を越えた移動は十分に注意してもらわないと変異株があっという間に広がってしまう。高齢者へのワクチン接種が行われる6月までは非常に厳しい時期でなんとか乗り越えないと、また、医療のひっ迫が起きてしまう可能性がある。もとの社会に戻りたいという思いはみんな一緒だと思うが、行動変容が起きないかぎり、絶対に感染拡大は収まらない。人々に協力を要請する前に国や自治体が実際に行動する姿を見せてほしい」と訴えました。

西村経済再生相「悪化してくれば機動的に『重点措置』」

西村経済再生担当大臣は、記者会見で、首都圏の埼玉、千葉、神奈川への対応について「東京との行き来をできるかぎり控えてもらい、人との距離をとりながら、人混みには行かないことを徹底することで感染を抑えたいが、悪化してくれば、機動的に『重点措置』を使っていきたい」と述べました。

一方、今週5日から「重点措置」が適用されている大阪と兵庫については「かなり人出が落ちてきており、しっかり効果を見たい。ただ、かなりのスピードで感染者数が悪化してきているので、さまざまな状況や事態を考えながら、専門家の意見を聴いて適切に判断していかなければならない」と述べました。