福島県沖の漁「試験操業」
31日に終了

福島県いわき市で県内の漁協の組合長などが集まる会議が開かれ、原発事故のあと福島県沖で続けられてきた「試験操業」を31日で終えることが正式に決まりました。

福島県沖では原発事故のあと、漁の回数などを制限しながら出荷先での評価を調べる「試験操業」が続けられていて、去年の水揚げ量は事故前の2割以下にとどまりました。

30日に、いわき市で福島県内の漁協の組合長などが集まる会議が開かれました。

この中で、震災と原発事故から10年たって漁港や市場などの復旧が進み、魚介類から国の基準を超える放射性物質がほとんど検出されなくなったことなどから「試験操業」を31日で終えることを決めました。

4月以降は「本格操業」への移行期間と位置づけ、漁の制限を段階的に減らしながら水揚げ量の拡大に取り組んでいくことも決定しました。

福島県沖でも、他県の沖でも自由に漁ができる「本格操業」に戻すためには、震災後に減ってしまった漁協の職員や仲買人を増やして、増加する水揚げの受け入れ態勢を整え、他県の漁協などから改めて沖合での操業の許可を得る必要があるということで、今後は漁協ごとにこうした課題に取り組んでいくということです。

福島県漁業協同組合連合会の野崎哲会長は「試験操業を終えることになり、ようやくスタート地点に立ったと感じている。本格操業に向けさまざまな課題が残っているが、大勢の人に福島県の魚を食べてもらえるよう、水揚げ拡大に向けて漁業者どうしで議論を重ねていきたい」と話していました。