不妊治療 国が初の実態調査
体外受精費用に大きな差

不妊治療の保険適用の拡大に向けて、厚生労働省が当事者の経済的負担などについて初めての実態調査を行いました。このうち体外受精にかかる費用は1回当たり平均およそ50万円でしたが、医療機関によって大きな差があることもわかりました。

不妊治療の経済的負担を軽減しようと、政府は令和4年度から保険適用を拡大する方針で、それに先立って去年10月から12月にかけ医療機関や当事者などを対象に初めての実態調査を行いました。

このうち、産科と婦人科の医療機関を対象にした調査は郵送で行われ、622の施設のうち394施設から回答を得ました。

治療の費用について1回当たりの平均は、人工授精で3万166円で、体外受精で50万1284円でした。

ただ、医療機関によって治療の内容や金額には差があり、体外受精では最も安かった20万円以下の施設が4か所あった一方で、最も高かった90万円から100万円という施設も5か所ありました。

不妊治療を受けている人や、過去に受けたことがある人を対象にした当事者の調査も行われ、インターネットを通じて1636人から回答を得ました。
それによりますと、いわゆる「妊活」を始めてから医療機関を受診するまでの期間は半年以内が68%で、1年以内まで広げると82%でした。

また、心理的ストレスに関しては「他の人の妊娠が喜べないと感じたか」、「親からのプレッシャーを感じたか」など4つの質問があり、いずれの質問でも、女性のほうが男性よりストレスを感じている傾向がありました。

当事者の調査では、特別養子縁組や里親制度についての質問も行われました。

それによりますと関心があると答えた人は男性で41%、女性で34%で、このうちおよそ7割は関心があるものの、情報収集を行っていなかったと回答しています。

厚生労働省は、今回の調査結果を踏まえて、不妊治療の保険適用に向けた具体的な検討を進めるとしています。