コロナで予算減 10年以上
勤続の非正規公務員雇い止め

新型コロナの影響による予算の削減によって、神奈川県庁で10年以上働いてきた「非正規公務員」の30代の女性が「雇い止め」になりました。専門家は「公共の仕事を担う非正規が立たされている、不安定な立場を浮き彫りにしている」と指摘しています。

弁護士などによりますと、神奈川県庁の福祉関係の部署で働く「非正規公務員」の30代の女性は、10年以上、専門的な相談員を務めてきましたが、先月、来年度は契約しないと通知されたということです。

県は、新型コロナの影響による予算の削減で事業を見直し、ポストを廃止することが理由だとしていますが、業務そのものはなくならないということです。

民間であれば、同じ会社で5年を超えて働いた場合、本人が希望すれば無期雇用に切り替えることが企業に義務づけられていますが、自治体で働く「非正規公務員」にこうしたルールはありません。

女性は25日夜、オンラインで会見し、出産を控えているとしたうえで「長年勤めてきた職場から、あっけなく契約更新をしないと伝えられました。公の機関で非正規の立場が十分、守られず悔しいです。産後すぐの再就職は難しく、妊娠中の通知である点も疑問を感じます」と訴えていました。

これについて神奈川県は「事業の見直しを行い、業務全体の縮小の中で女性のポストは必要ないと判断された。それについては本人にも説明している。そもそも単年度の契約による任用なので、妊娠とは時期がたまたま重なっただけだ」としています。

今回のケースについて、人事管理などに詳しい法政大学キャリアデザイン学部の武石惠美子教授は「10年以上勤続していた女性には雇用継続への期待があったと考えられ、公共の仕事を担う非正規が、民間以上に不安定な立場に立たされている問題を浮き彫りにしている。妊娠出産が重なった時にこうした問題が起きやすく、丁寧な説明が必要だ」と指摘しています。