LINEでの行政サービス
停止 総務省

通信アプリのLINEが利用者の個人情報を業務委託先の中国の会社がアクセスできる状態にしていた問題で、武田総務大臣は事実関係の把握を急ぐとともに総務省がLINEを通じて提供している行政サービスの運用を停止する考えを示しました。

LINEをめぐっては、システムの管理を委託している中国の会社が日本国内のサーバーに保管されている利用者の名前や電話番号といった個人情報にアクセスできる状態になっていたことが明らかになっています。

これについて、武田総務大臣は19日午前記者団に対し「ユーザーが安心してサービスを利用できる環境を確保する観点から適正な事業運営が必要だ。関係省庁と連携し、事実関係を把握して適切な措置を講じていきたい」と述べました。

また、武田大臣は総務省が現在、LINEを通じて提供している意見募集や問い合わせの対応などの行政サービスの運用を停止する考えを示しました。

さらに、保育所の入所申請や粗大ゴミの収集の受け付けなど行政サービスにLINEを活用しているすべての自治体に対し、3月26日までにLINEの利用状況を報告するよう依頼したことを明らかにしました。

加藤官房長官 「各省庁のLINE利用状況を確認中」

加藤官房長官は閣議のあとの記者会見で「政府ではLINEを含め民間企業が不特定多数の利用者向けにインターネット上で提供するサービスを利用する際には、機密情報は取り扱わないということで運用している。この基準に沿って各省庁で対応していると認識しているが現在、内閣官房を含め各省庁におけるLINEの利用状況を改めて確認している」と述べました。

そのうえで「内閣官房では個人情報などの管理上の懸念が払拭されるまでは利用を停止するなどの対応を予定している」と述べました。

平井デジタル相 「国民の関心非常に高い 迅速に対応を」

平井デジタル改革担当大臣は記者団に対し「外国の第三者への個人データの提供などを含め個人情報保護委員会が事実関係の詳細についてLINE社側に説明を求めている。国民の関心も非常に高いので迅速に対応してもらいたい」と述べました。

また、記者団からLINEを使用しているかどうか問われたのに対し「個人では使っているが大臣としては使っていない。個人での使用はとりあえずやめない。不都合な事象が起きていることは確認していない」と述べました。

大阪市もLINE使った行政サービス停止

大阪市は情報管理に懸念があるとして安全性が確認されるまで、LINEを使った行政サービスの提供を停止することを決めました。

停止されるのはLINEのサービスを活用した市民向けの情報発信のほか、個人情報を取り扱ういじめの相談受け付けや公共料金の支払いなどだということです。

大阪市の松井市長は記者団に対し「保護されるべき情報が外に出るようなことになれば人権侵害にもなりうる問題だ。運用の見直しを検討するよう指示した」と述べました。

大阪府もサービス提供停止

大阪府も個人情報を取り扱う相談事業や施設の予約などLINEを使ったサービスの提供を停止することを決めました。

三重県鈴鹿市 ワクチン接種予約見合わせ

三重県鈴鹿市は新型コロナウイルスのワクチン接種の予約をLINEでも行えるよう準備していましたが、見合わせることにしたということです。

また三重県も就職氷河期世代の就職に関する相談窓口のLINEアカウントを一時的に停止しました。個人情報を扱い、データがLINE側のサーバーに残るためとしています。

自民党「看過できない」徹底調査求める

通信アプリのLINEが利用者の個人情報に業務委託先の中国の会社がアクセスできる状態にしていた問題で、自民党の会合では「看過できない問題だ」として、政府に徹底した調査を求める意見が相次ぎました。

この問題で自民党は19日、総務部会などの合同会議を開き、LINEの幹部らから事実関係の聞き取りを行いました。

この中でLINE側は「利用者に不安や心配をおかけし誠に申し訳ない」と陳謝したうえで、業務委託先の中国の会社から日本国内の利用者の個人情報などへのアクセスを遮断する措置を取ったことを報告しました。

また、韓国のデータセンターで管理している画像や動画の一部についても、ことし6月までに日本国内へ移転することなどを説明しました。

これに対し出席した議員からは「看過できない問題で、政府は情報が悪用されたケースがないのか調査を徹底すべきだ」という意見が相次ぎました。

そして、政府の個人情報保護委員会が事実関係の確認などを進めていることを踏まえ、党としても必要な対応を検討していくことになりました。

国民民主党「ゆゆしき問題」公務のやりとりいったん停止

通信アプリのLINEが、利用者の個人情報に業務委託先の中国の会社がアクセスできる状態にしていた問題で、国民民主党は、党の活動に関するやりとりでLINEを使うのをいったん停止することになりました。

国民民主党の榛葉幹事長は、記者会見で「ゆゆしき問題だ。会社側には、情報セキュリティの確保を万全にするとともに、過去に個人情報の流出がなかったのか明確にしてもらいたい」と述べました。

その上で「LINEが便利なのは事実で、党でも政策勉強会の日程などの連絡で使っていたが、公務に関わるやりとりでの利用は、いったん停止することにした」と述べました。

今回の問題をめぐっては、立憲民主党も、国会対策委員会の幹部間のやりとりでLINEを利用するのを、当面、控えることを決めています。