外国人労働者にPCR検査
義務づけも撤回 ソウル市

韓国のソウル市は、すべての外国人労働者に対して新型コロナウイルスのPCR検査を義務づける措置を打ち出しましたが、差別的だなどと批判が高まったことを受けて、事実上、この措置を撤回しました。

ソウル市は、17日、すべての外国人労働者に対して3月末までに新型コロナウイルスのPCR検査を受けることを義務づける行政命令を出しました。

▼新規感染者のうち、外国人が占める割合が増加したことや、▼ソウル近郊の外国人労働者が働く工場などで大規模な集団感染が相次いだことを理由に挙げ、命令に従わなかった場合、最高で200万ウォン、日本円でおよそ19万円の罰金を科すとしていました。

しかし、この対応についてソウルに駐在するイギリスのスミス大使がツイッターの動画で「公平でなく、効果的でもないと考える。措置の再検討を求めていく」と述べたほか、アメリカをはじめ、各国の大使館などが憂慮や懸念を示しました。

また、主要紙の1つ、ハンギョレ新聞は19日朝の社説で「後進的な人権意識をさらけ出した。差別との批判は避けられない」と指摘するなど波紋が広がりました。

これを受けて、韓国政府は、ソウル市に対して改善を求め、市は、19日夕方、事実上、この措置を撤回しました。

ソウル市は、行政命令の内容を変更し、検査を義務づける代わりに、感染リスクの高い場所で働く人については、外国人だけでなく、韓国人に対しても検査を受けるよう勧告するとしています。