山田内閣広報官
辞職までの経緯

衛星放送関連会社に勤める菅総理大臣の長男などから接待を受けていた山田真貴子内閣広報官は、28日体調不良を理由に入院し、1日辞職しました。辞職までの経緯をまとめました。

7万4000円余の接待

山田氏が接待を受けていたことが明らかになったのは。先月22日でした。総務省の幹部と衛星放送関連会社に勤める菅総理大臣の長男らとの会食をめぐり、総務省は、合わせて11人の職員が倫理規程に違反する接待などを受けていたとする調査結果を発表。
これとは別に、内閣広報官の山田氏が総務省の総務審議官だったおととし11月に、菅総理大臣の長男や東北新社の社長など会社側の関係者合わせて4人と会食し、1回で1人当たり7万4000円余りの接待を受けていたことが明らかにされました。

山田氏は、2月15日の衆議院予算委員会では総務省を通じて「菅総理大臣の長男と会食した明確な記憶はない」と回答していましたが、その後、みずから東北新社側に確認したところ、会食していたことがわかったということです。

“和牛ステーキや海鮮料理”

1回で1人7万円を超える高額の接待を受けていた山田氏。
24日、加藤官房長官は、衆議院内閣委員会で山田氏が受けた飲食の接待について「具体的な中身は明確ではないが」としたうえで
「和牛ステーキや海鮮料理などが提供されたということだ。合計額が37万1013円で、参加人数の5人で頭割りをした金額だと報告されている」と説明。

加藤官房長官は、山田氏から、給与月額の10分の6を自主返納する申し出があったことを明らかにしました。

この日、菅総理大臣は、総理大臣官邸で記者団に対し「かつて国家公務員倫理法違反の案件があったことについては、極めて遺憾だと思っている」と述べました。
一方で「私自身、任命する際には、そうした違反行為については承知していなかった」と述べたうえで、菅総理大臣は「真摯(しんし)に反省し、給与を返納していることも事実だ。加藤官房長官に指示して、厳重に注意した。山田内閣広報官は、今後とも、職務に頑張ってほしいと思っている」と述べていました。

“働きかけ 無かった”

25日、衆議院予算委員会では山田氏が出席して質疑が行われました。

この中で山田氏は「総務省在職中の国家公務員倫理法違反に当たる行為により、公務員の信用を損なうことになったことを、深く反省している。大変、申し訳なかった」と陳謝。
「心の緩みがあったし、利害関係者かどうか、チェックが十分でなかった」と述べました。

一方で「職務を続けていく中で、皆様の考えをよく踏まえながら、自分の身を省みて、みずからを改善していきたい」と述べ、辞職については否定しました。

また会食の内容をめぐり、山田氏は「牛肉のステーキ、海鮮料理だったと記憶している」としたうえで、「菅総理大臣の長男がその場にいると、事前に認識していたかというと、そうではなかったと思う。長男がいらしたことが、私にとって大きな事実だったかというと、必ずしも、そうではないと思う」と述べました。

さらに「放送業界全体の実情に関する話はあったかもしれないが、全体としては一般的な懇談で、働きかけは無かったと認識している」と述べました。

そして、山田氏は「衛星放送関連会社との会食は、この1回が確認されているのみだ。他の事業者との会食は、必要に応じ、ルールにのっとって行うことはあった」と述べました。

しかし、野党側は山田氏の説明は不十分だなどとして内閣広報官をやめるよう求めていました。

体調不良で入院 そして…

山田氏は、1日、衆議院予算委員会の集中審議に出席する予定でしたが、28日から入院。内閣広報官を辞任する意向を固め、辞表を提出したことが明らかになりました。

加藤官房長官は、衆議院予算委員会の冒頭で「予算委員会に出席予定だった山田真貴子 内閣広報官は、きのう夕方、体調不良により、かかりつけの病院を受診したところ『2週間程度の入院加療を要する』との診断を受け、入院した」と説明しました。

そのうえで「本人から『職務の遂行を続けることが難しい』と、入院先から杉田官房副長官に辞意が伝えられ、その夜、杉田副長官から菅総理大臣と私に報告があった。菅総理大臣は『やむをえないこと』と判断した。本日付で退職願が提出され、先ほど、持ち回り閣議が終了した。審議にご迷惑をおかけして、大変申し訳ない」と陳謝しました。

衆議院予算委員会の集中審議で菅総理大臣は「私の家族が関係して、結果として公務員が倫理法に違反する行為をしたことは、大変申し訳なく、国民に深くおわび申し上げる。行政に対する国民の信頼を大きく損なう事態になったことは、深く反省しなければならない」と陳謝しました。

山田真貴子氏とは

山田氏は東京都出身の60歳。昭和59年に旧郵政省に入り、第2次安倍政権で女性として初めて総理大臣秘書官に起用されたほか、総務省の情報流通行政局長や、事務次官級のポストの総務審議官を務めました。
去年9月、菅内閣は、山田氏を初めての女性の内閣広報官に起用。菅総理大臣の記者会見で進行役を務めていました。