「雪害タイムライン」
策定は全国で兵庫県のみ

大雪による被害や影響を最小限にとどめるため、国が自治体に促している雪に特化した防災計画=「雪害タイムライン」を策定しているのは、全国で兵庫県だけだったことがNHKの取材で分かりました。

災害時に関係機関や住民などがとるべき具体的な行動を時間ごとにまとめた「タイムライン」と呼ばれる防災計画について、国は5年前から自治体に策定を促し、台風や洪水などについては全国で策定の動きが進んでいます。

去年12月から先月にかけての大雪で北陸や新潟県で大規模な車の立往生が相次ぎ、市民生活や地域経済に大きな影響が出たことを受けて、NHKは積雪の多い全国22の道府県を対象に、大雪に特化した「雪害タイムライン」の策定状況を調査しました。

その結果、タイムラインを策定していたのは兵庫県だけでした。

策定していない理由については「関係機関とは日頃から連携を図っている」とか「県内の積雪状況からみて必要ない」などと回答しています。

一方、福島、富山、滋賀の3県は「策定する予定がある」と答え、このうち富山県は「すでにある道路の除雪に限定したタイムラインでは不十分で、事前の通行止めの情報共有や、車での外出自粛の呼びかけなどを盛りこんだ横断的な計画が必要だと判断した」としています。

自治体の防災対策に詳しい東京大学大学院の松尾一郎客員教授によりますと、国道の除雪のためのタイムラインは作られていますが、道府県が主体となった横断的な防災計画の策定は進んでいないということです。

松尾客員教授は「雪害の影響は広い範囲に及び、人命にも関わる災害だ。命を守り被害を最小化するため、都道府県が中心となって市町村や道路管理者、住民などを巻き込んでタイムラインを早急に策定し、災害に備えるべきだ」と指摘しています。