栃木県 宣言解除も飲食店の
時短要請など2週間継続

栃木県では新型コロナウイルス対策の特別措置法に基づく緊急事態宣言が8日、解除されました。一方で、県は依然として医療体制がひっ迫しているとして、飲食店の営業時間の短縮要請などを今後も2週間継続し、段階的に緩和することにしています。

栃木県は先月13日、政府の緊急事態宣言の対象地域に追加されましたが、その後、新規の感染者数が減少しているなどとして、8日、解除されました。

栃木県内では、新規の感染者が年明けには連日100人を超えていましたが、現在は1日20人前後にまで減少しています。

しかし、政府の分科会による6つの指標のうち、「病床のひっ迫具合」について「ステージ3」が続いていることなどを受け、栃木県は今月21日までの2週間、県内全域で日中も含めた不要不急の外出の自粛や、飲食店などに対する営業時間短縮の要請を継続することにしています。

このうち、飲食店などの営業時間は7日まで午後8時まででしたが、8日から午後9時までとし、今後、段階的に緩和していくことで感染の再拡大を防ぎたいとしています。

新規感染者数 10日前の人の流れを反映

栃木県は緊急事態宣言が出される前後の宇都宮市中心部の夜間の人の流れと、新規感染者数の推移を分析しました。

携帯電話の位置情報を元に、去年12月中旬から先月24日までのおよそ1か月間について午後9時の人出を調べたところ、10日後の新規感染者数の推移と同じ動きがみられることが分かったということです。

特に12月25日のクリスマスの人出が前日より3000人以上増え、それから年末にかけて人の流れが多い状況が続きました。

その10日後の先月4日ごろから新規感染者数が急増し、連日100人を超えているのが分かります。

一方、栃木県が12月30日に県独自の警戒レベルを最も高い「特定警戒」に引き上げ外出自粛を呼びかけたあとの12月31日には、人出が前日より3700人あまり減少し、その10日後に新規感染者が減少したということです。

栃木県は年末の人の動きと年明けの感染状況には相関関係があるとして、今後の対策に生かしていくことにしています。

専門家「流入と行動抑制が感染者減少に」

緊急事態宣言が栃木県で先行して解除されたことについて、栃木県下野市にある自治医科大学附属病院の森澤雄司感染制御部長は「検査の陽性率は一時、10%を超えていたが、最近は2%程度になり、確実に感染者が減って広がりが抑えられている。今の感染者数が維持できれば宣言を解除しても問題ない」という認識を示しました。

年末に県内で感染が急増した要因について「首都圏からの帰省などでウイルスが持ち込まれ、持ち込まれた先で人が集まったことで、感染が広がったとみられる」と指摘しました。

そのうえで、その後の新規感染者の減少には、「人の流れ」と「人の集まり」の2つの抑制のポイントがあったとして「緊急事態宣言が出されて首都圏からの人の流入が減り、栃木県民もリスクの高い行動を避けたことで感染が減少したと考えられる。飲食店が積極的に営業の自粛に協力したことも非常に大きい」と述べました。

一方で、栃木県内の医療提供体制の現状については「新規感染者が減少し、危機的な状況は何とか乗り切ることができる見込みが出てきたが、発症後、時間がたって重症化するケースも多く、まだまだ油断できない状況だ。今後も、新規感染者を増やさないことが重要だ」として、改めて感染防止対策の徹底を呼びかけました。

飲食店99%が時短営業に協力

栃木県では緊急事態宣言の期間中、県内の飲食店の99%が営業時間の短縮要請に応じていて県はこうした協力が感染の減少につながったと分析しています。

栃木県内の自治体と商工団体の調査によりますと、調査対象となった県内の飲食店およそ2900店のうち、午後8時までの短縮営業に協力した店は、今月3日の時点で99%に上っているということです。

先月21日の時点では、要請に応じていない店舗が5%近くありましたが、遅れて短縮営業を行った店にも県が協力金の支給を行うことにしたところ、ほとんどの店が要請に応じたということです。

県はこうした飲食店の協力が夜間の人出を抑え、感染の減少につながったと分析しています。

このため、宣言が解除されたあとも、午後8時までとしていた営業時間を午後9時までとし、引き続き短縮営業に協力を呼びかけていて、今後、段階的に緩和していくことで感染の再拡大を防ぎたいとしています。

飲食店は営業再開へ

栃木県に出されていた緊急事態宣言が解除されたことを受け、県内では休業していた飲食店が感染防止対策を取りながら営業を再開する動きが出ています。

このうち宇都宮市の中心部にある「花咲種一」は、旬の食材を使ったおでんが人気の飲食店で、感染が拡大した先月からテイクアウトのみの営業に切り替えていました。

宣言の解除を受けて、店は8日から店内での営業を再開することを決め、料理人たちは1か月ぶりの営業に向けて丁寧に料理の仕込みをしていました。

店はすべての客に検温を実施するとともに、食事をしていないときにマスクの着用を呼びかけることにしています。

また、栃木県が宣言の解除後も営業時間を午後9時までに短縮するよう求めていることから通常は午後11時までの営業時間を2時間短縮するということです。

「花咲種一」の竹村一樹さんは、「1か月営業を我慢してきて、きょう久しぶりにおでんを準備できてうれしい。感染がまた広がらないよう対策を徹底しながら、私たちにできるおもてなしを提供したい」と話していました。