第3次補正予算 賛成多数で
可決・成立

新型コロナウイルス対策などを盛り込んだ今年度の第3次補正予算は28日夜、参議院本会議で採決が行われ、自民・公明両党と日本維新の会などの賛成多数で可決・成立しました。

新型コロナウイルスの感染防止策や経済対策の費用を盛り込んだ今年度の第3次補正予算案は28日、参議院予算委員会で自民・公明両党と日本維新の会の賛成多数で可決されました。

そして28日夜、参議院本会議で審議が行われました。

討論で、自民党は「国難を打破し平穏な国民生活を取り戻すためには、感染拡大を抑えながら、経済社会の回復を確かなものとする、さらなる施策の実施が急務だ」と述べました。

一方、立憲民主党は「緊急事態宣言下の対策が想定されていない。特にGo To事業予算は完全にタイミングを誤っており看過できず、新型コロナ対策の経費へ集中し直すべきだ」と述べました。

このあと採決が行われ、自民・公明両党と日本維新の会などの賛成多数で可決・成立しました。

第3次補正予算には、病床の確保など、医療提供体制を強化するために「緊急包括支援交付金」を増額する費用として1兆3000億円余り、「Go Toトラベル」の延長にともなう費用として1兆300億円余り、激甚化する風水害や、インフラの老朽化対策などの費用として2兆2600億円余りが盛り込まれていて、追加の歳出は、一般会計で合わせて19兆1700億円余りとなっています。

第3次補正予算の詳細

今年度の第3次補正予算には、去年12月にまとめた経済対策を実行するため、追加の歳出として19兆1761億円が計上されています。

新型コロナウイルスの感染拡大防止に関する予算としては、病床や宿泊療養施設の確保など医療を提供する体制を強化するために「緊急包括支援交付金」を増額するため1兆3011億円、各都道府県が飲食店に営業時間の短縮や休業を要請する際の協力金などの財源として「地方創生臨時交付金」を拡充するために1兆5000億円、ワクチンの接種体制などを整備するための費用として5736億円を盛り込んでいます。

ポストコロナに向けた経済の構造転換や好循環を実現するための予算としては、中堅・中小企業が事業転換に向けて行う設備投資などを最大で1億円補助するための費用として1兆1485億円、行政サービスのデジタル化を進めるため、地方自治体のシステムを統一する費用などに1788億円、“脱炭素社会”に向けて基金を創設し、野心的なイノベーションに挑戦する企業を10年間継続して支援する費用として2兆円、Go Toトラベルの延長に伴う費用として1兆311億円を計上しています。

さらに防災・減災や国土強じん化を推進する予算として、風水害や巨大地震などへの対策やインフラの老朽化対策などの費用として2兆2604億円が盛り込まれています。

国の財政状況は一段と厳しく

新型コロナウイルスの影響で企業業績が悪化したことなどから、今年度の国の税収は当初の見込みと比べて8兆円余り少ない55兆1250億円となる見通しです。

第3次補正予算に必要な財源を確保するため、政府は追加で赤字国債などを発行します。

この結果、今年度の国債の新規発行額は112兆5539億円と、初めて100兆円を超えます。

今年度の予算全体でみますと、歳入の64%余りを国債に頼る過去最悪の状況で、健全化が課題となっている国の財政状況は一段と厳しくなっています。

こうした財政事情も踏まえ、第3次補正予算の成立にあわせて昨年度・令和元年度の国の一般会計の剰余金を財源として活用することを特例として認める法律も成立しました。

具体的には、追加の歳出、19兆1761億円の財源として昨年度の剰余金のうち6852億円を活用します。

財政法では、剰余金の半分以上は国債の償還などに充てることが定められていますが、特例法では昨年度の剰余金については、この規定を適用しないとしています。

予備費は残り3兆8000億円余り

今年度の第3次補正予算の成立を受けて、新型コロナウイルス対策に充てる予備費の残りは3兆8144億円となりました。

政府は今年度、新型コロナウイルスへの対応として、国会の承認を得ずに使いみちを決められる予備費として、第1次補正予算で1兆5000億円、第2次補正予算で10兆円、合わせて11兆5000億円の予備費を計上しています。

そして、これまでに24件、合わせて5兆8000億円余りの支出が決定されています。

主な使いみちは、
▽売り上げが大幅に落ち込んだ中小企業などに最大200万円を支給する「持続化給付金」の資金を増やすために9150億円。
▽海外の製薬会社からワクチンを購入する費用として6714億円。
▽雇用調整助成金の特例措置を行う予算の不足を補うために4391億円。
▽Go Toトラベルに必要な資金を増やすために3119億円。
▽営業時間の短縮に応じた飲食店に対する協力金を1か月当たり最大180万円に拡充する費用として7418億円となっています。

そして今回、政府は第3次補正予算の財源に1兆8500億円の予備費を充てていました。

予算が成立した結果、今年度の予備費の残りは3兆8144億円となりました。

政府は、感染拡大の状況に応じて機動的に対応するため、予備費が必要だとしていて、新年度の当初予算案でも、新型コロナウイルスへの対応として5兆円の予備費を盛り込んでいます。

ただ予備費の活用は、あくまで特例的な措置であり、使いみちや実効性の丁寧な説明が求められます。

政府は今年度使った予備費の実績をまとめた書類を今の通常国会に提出したうえで、事後承諾を得ることにしています。