核兵器禁止条約
発効で記念イベント

核兵器禁止条約が発効したことを記念するイベントが、被爆地の広島、長崎と東京をオンラインで結んで開かれ、被爆者や、核廃絶に取り組む若者たちが、「核なき世界」の実現に向けて活動を広げていくことを確認しました。

このイベントは、被爆者団体などが東京、広島、長崎の3つの会場をオンラインで結ぶ形で開きました。

はじめに、広島で被爆し、世界各国で自身の被爆体験を語ってきたカナダ在住のサーロー節子さん(89)のビデオメッセージが流され、条約の発効について、「非常に感動しています」と話したうえで「以前にも増して、私たちの行動が求められており、核兵器を完全に廃絶するまでの道のりを、勇気を持って歩み続けましょう」と呼びかけました。

続いて、東京の会場を訪れた日本被団協=日本原水爆被害者団体協議会の田中煕巳代表委員(88)があいさつし「核兵器をなくすにはいかに非人道的な兵器であるかを知ってもらうしかない。残念なことに条約を批准していない日本や、核保有国などを条約に参加させるために頑張っていきたい」と話しました。

このあと、広島の会場で、被爆者や、被爆者の体験を伝える活動を行っている若者たちがそれぞれの思いを話したほか、長崎では、条約の発効を核廃絶を目指す運動にどうつなげていくかについて意見が交わされました。

そして最後に、核廃絶に取り組むグループのメンバーで、都内の大学4年生の遠藤あかりさん(22)が「条約の発効を新たなスタート地点とし、核兵器のない社会を私たちの力で実現するために、一緒に進んでいきましょう」と訴えました。

「若い世代が引き継ぐ必要」

広島市から参加した被爆者や若者たちは、核兵器の廃絶に向けた新たな決意を表明しました。

広島市の会場では広島県被団協の箕牧智之理事長代行が「核兵器禁止条約の発効できのうは希望の光が見えた瞬間でした。人類のために核廃絶を日本や世界に訴え続けることが大切です」とあいさつしました。

このあと、大学生や高校生ら5人が順番に、被爆者の体験を聞き、絵や劇として発信していることなど、みずからの平和活動について紹介しました。

この中で、広島大学大学院の菅野計馬さんは「この条約は被爆者の長年の努力があってこそだ。核廃絶に向けて歩みを続けるために私たち若い世代が引き継ぐ必要がある」と話していました。