緊急事態宣言 教育現場や
大学入学共通テストは?

文部科学省は緊急事態宣言に伴う小中学校や高校などの一斉休校は要請しない方針です。また「大学入学共通テスト」は、感染対策を徹底したうえで今月16日から予定どおり実施されます。

小中学校、高校の一斉休校 要請しない方針

文部科学省は感染症の専門家の意見を踏まえ、緊急事態宣言に伴う小中学校や高校などの一斉休校は要請しない方針です。

その理由として、これまでの感染状況から、学校が地域に感染を拡大させる要因にはなっていないことや、学校のみを休校とすることは子どもの健やかな学びや心身への影響が大きいことを挙げています。

そのうえで、学びを保障する観点から、児童生徒や教職員に感染者が1人発生したことだけをもって、学校全体を休校することは控えてほしいと要請しています。

感染が広がっている可能性が高い場合は、保健所と相談の上、学級や学年単位など必要最低限の休業にとどめるよう求めています。

また幼稚園で休園する場合は、ひとりで家にいることができない年齢であることを踏まえ、万全の感染対策を講じたうえで預かり保育を縮小して実施するなど居場所の確保を求めています。

一方で、部活動については、集団での移動や食事、寮生活などで長時間行動をともにすることもあり注意を呼びかけています。

この中では、
▽同じ部活動の生徒が食事をする際などの感染対策を徹底すること、
▽特に高校の部活動においては、地域の感染状況や活動内容に応じて、感染リスクの高い活動を一時的に制限することも検討してほしいとしています。

大学での授業 “対面とオンライン 適宜活用を”

文部科学省は大学での授業についても、緊急事態宣言が出されたあともより慎重に感染対策を講じたうえで、対面のほかオンラインを活用して学習機会を確保するよう大学や短大、専門学校などに改めて通知しました。

この中では、大学などでは授業よりも、飲み会、寮生活、課外活動などでクラスターが発生しているとして、学生への感染予防に関する情報提供と適切な注意喚起をするよう呼びかけています。

授業については、感染対策を十分講じたうえで対面が適しているものは対面で実施し、対策を取っても難しい場合はオンラインを活用しつつ、その理由を丁寧に説明するなど学生に寄り添った対応を取るよう求めています。

大学入学共通テスト 16日から予定どおり実施

「大学入学共通テスト」は、感染対策を徹底したうえで今月16日から予定どおり実施されます。

大学入試センターは専門家の意見を踏まえて受験生に対して注意を呼びかけています。

当日までの対応は

事前の対応として、
▽試験の7日ほど前から体温を測定し、
▽感染が拡大している地域では2週間ほど前から健康観察を行い、「受験上の注意」の冊子にある「健康観察記録」に記入したうえで当日は必ず持参するよう求めています。

当日の注意点は

試験当日については、
▽体調が万全でない時は無理をせず追試験の申請をすること、
▽会場に到着後に発熱などの症状が出たり、試験中に明らかに激しいせきが続いたりした場合は、追試験の申請をしてもらうこともあるとしています。

そのうえで、
▽試験会場内では常にマスクを正しく着用することを求めていて、
▽フェイスシールドやマウスシールドのみでは受験できないとしています。

▽休憩時間や昼食の際は会話を極力控えて、
▽入退場のたびに会場に備え付けられたアルコールで消毒を行ってほしいとしています。

このほか、
▽感覚過敏などでマスクの着用が困難な場合は、医師の診断書を持参して別室で受験する必要があるとしています。

無理せず追試の申請も

今回の大学入学共通テストでは本試験が今月16日17日と、30日と31日の2回の日程で予定されていて、来月13日と14日にも特例の追試が設けられていることから、受験生には無理をせずに追試を受けてほしいとしています。

家庭でも細心の注意を

このほか文部科学省も、受験生に対して
▽外出を最小限にとどめ検温して体調を把握すること、
▽家庭内感染の増加を受け、家庭内でも食事の際は可能な範囲で距離を取ること、
▽体調のよくない家族がいれば家の中でもマスクを着用し、同じ部屋で食事や睡眠は取らず1時間に2回以上換気を行うことなどを求めています。
予定どおり実施される「大学入学共通テスト」。
受験会場や関係機関、それに保護者の注意点です。

会場における対策は

共通テストを実施する大学入試センターでは会場となる大学などに対し、
▽受験生の席は1メートルほど間隔を空け、1科目終了ごとに換気を徹底すること、
▽急な体調不良に対応する医師や看護師の配置や、
▽無症状の濃厚接触者のための別室の確保といった、感染対策を求めています。

関係機関などへの呼びかけ

また文部科学省は厚生労働省や国土交通省などと連携して、
▽塾や予備校関係者は、会場周辺での受験生への激励などの行為を自粛すること、
▽周辺までの保護者の付き添いはやむをえない場合を除き控えること、
▽不動産業者にはアパートなどを紹介するチラシの配布の自粛を求めています。

さらに、移動や宿泊についても
▽電車やバスなどの公共交通機関には、試験を実施する大学から混雑緩和の対応を求められた際の配慮や、換気や消毒などの実施、
▽受験生などが利用する宿泊施設には感染対策の徹底など、異例の状況での入試となる中、受験生が安心して当日を迎えられるよう協力を要請しています。

小中学校、高校の入試 “感染対策を十分行い受験の機会を確保”

文部科学省は小学校や中学校、それに高校の入試でも、学校側に対し感染対策を十分行ったうえで受験の機会を確保するよう全国の都道府県の教育委員会などに呼びかけています。

感染が拡大する中、文部科学省は受験生が安心して試験に臨めるよう、
▽例年使用していない教室を試験会場に活用するなどして受験生どうしの間隔を確保し、
▽会場への入退場で混雑が生じないよう時間をずらすことや、
▽追加の試験日を設けること、それに
▽面接試験の際には「礼儀」といった理由からマスクを外すことがないよう受験生に伝えることを学校側に求めています。

このほか、無症状の濃厚接触者についても必要な感染対策を講じたうえで、試験を受けられることを周知しています。

去年6月~12月の児童や生徒の感染者数6159人

文部科学省によりますと、学校が本格的に再開した去年6月から12月末までの7か月の間に報告された、児童や生徒の感染者数は6159人となっています。

内訳は、
小学生が2217人、
中学生が1513人、
高校生が2350人、
特別支援学校が79人となっています。

このほかにも幼稚園で幼児235人の感染が確認されています。

感染経路を見ると全体では「家庭内感染」が最も多く、
小学生の75%、
中学生の60%、
高校生の31%などとなっています。

「学校内感染」は、
小学生の6%、
中学生の11%、
高校生の28%、

「感染経路不明」は、
小学生の11%、
中学生の19%、
高校生では32%を占めています。

年齢が上がるにつれて活動範囲が広がり、部活動を通じた集団感染も確認されていることから活動の一時的な制限や警戒の強化が呼びかけられています。

また発熱など何らかの症状が見られたのは、
小学生の33%、
中学生の51%、
高校生の60%となりましたが重症者はおらず、全体の52%が無症状でした。

文部科学省では、感染に対する不安により保護者から学校を休ませたいと相談があった児童生徒などについて、感染者が急激に増えている地域など合理的な理由があると校長が判断した場合には、「出席停止などの日数」として記録し、「欠席」の扱いにしないことも可能だと示しています。