緊急事態宣言
対象地域に講じる措置は

政府が緊急事態宣言の対象地域に講じるとしている措置の概要です。

営業時間短縮

まず、次の施設に対し、営業時間を午後8時までに短縮し、酒類の提供は午前11時から午後7時までとするよう要請するとしています。
▽居酒屋を含む飲食店や喫茶店。宅配やテイクアウトのサービスは除きます。
▽バーやカラオケボックスなどで、食品衛生法の飲食店営業許可を受けている店舗。

一方で、ネットカフェやマンガ喫茶など、宿泊を目的とした利用が相当程度、見込まれる施設については、営業時間要請の対象にしないとしています。

イベント

イベントについては、人数の上限を収容人数の半分か、5000人の少ないほうとするとともに、開催時間を午後8時までに短縮するよう働きかけるとしています。

これらの措置のうち、イベントの開催要件の厳格化と飲食店以外の施設への働きかけは、遅くとも今月12日には実施するよう求めています。

新年会や成人式など

このほか、
▽新年のあいさつ回りや新年会や賀詞交歓会などは、飲食につながるため自粛することを求めているほか、
▽成人式はオンラインでの開催や延期を呼びかけるとしています。

宣言に基づく措置と別に営業時間短縮を働きかけ

また、宣言に基づく措置とは別に、次の施設に対しても、営業時間の午後8時までの短縮と、酒類の提供を午後7時までとするよう働きかけるとしています。

▽食品衛生法の飲食店営業許可を受けている店舗などを除く遊興施設。
▽劇場、観覧場、映画館、演芸場。
▽集会場、公会堂、展示場。
▽物品販売業を営む1000平方メートルを超える店舗。
▽ホテルや旅館で集会などに使用する部分。
▽運動施設、遊技場。
▽博物館、美術館、図書館。
▽サービス業を営む1000平方メートルを超える店舗。

こうした働きかけの対象となる店舗や施設については、あくまでも協力の呼びかけにとどまり、協力金の支給対象とならない一方応じない場合でも、店舗名などは公表されません。

“飲食の場が感染対策の急所” 根拠は

今回の緊急事態宣言に先立ち、新型コロナウイルス対策にあたる政府の分科会は去年12月、感染リスクが高い場所として飲食の場を中心とした対策の重要性を指摘しました。

その根拠の1つとなっているのが、アメリカのスタンフォード大学などのチームが去年11月、イギリスの科学雑誌「ネイチャー」に投稿して発表した論文です。

論文ではアメリカの主要都市を対象に、去年3月から5月までのおよそ9800万人の携帯電話の位置情報のデータを使って、どんな場所で感染拡大が起こりやすいかを分析しました。

そして、店舗が休業から再開すると感染がどれだけ増えるかを数理モデルを使って予測しました。

その結果、感染拡大に最も関連しているとされたのが「フルサービスのレストラン」で、次いで「スポーツジム」「カフェ」そして「ホテル」と続きました。

逆に感染拡大との関連が少ないとされたのは「ガソリンスタンド」「薬局」「コンビニエンスストア」などとなりました。

論文では、例えばアメリカのシカゴで、休業していたレストランが「フルサービス」で再開した場合、1か月で新たにおよそ60万人が感染すると予測していて、2番目に関連性が強いとされたスポーツジムと比べて、感染者数は3倍に上るとみられるということです。

研究チームは「フルサービスのレストラン」で、感染リスクが高まるのは「訪問客が多く、滞在時間が長い傾向があるためだ」と分析しています。

一方で、論文では感染者数を減らす対策として、店舗に入る人数の制限を挙げました。

飲食店も含めて、さまざまな店舗で最大収容人数の2割まで人数を減らしたところ、感染者の発生が8割減るという結果になったということです。

研究チームは「一律に移動を制限するよりも、店の収容数を制限するほうが効果的だ」と指摘しています。

政府の分科会は、こうした論文や国内でのクラスターの分析結果などから、感染経路が分からない人の多くが飲食の場で感染したと考えられるとし、飲食の場を感染対策の「急所」として、対策を強化するよう提言していました。