成人式 延期やオンライン
開催へ切り替え相次ぐ

新型コロナウイルスの感染拡大で首都圏の1都3県を対象に緊急事態宣言が出される見通しとなる中、各地で成人式をオンラインでの開催に切り替えたり、延期したりする動きが相次いでいます。

このうちさいたま市の清水勇人市長は、今月11日に予定している成人式について、オンラインでの開催に切り替えると発表しました。

さいたま市は、成人式を今月11日にさいたまスーパーアリーナで開催する予定で、新成人およそ1万人の参加が見込まれていました。

開催に当たっては、2部制で行うことや、国の接触確認アプリを起動したうえでの入場を求めるなど感染対策を徹底することにしていましたが、首都圏の1都3県を対象に緊急事態宣言が出される見通しとなったことや最近の感染状況を踏まえ、新成人が会場に集まる形式からオンラインでの開催に切り替えることを決めました。

オンラインでの成人式は午前11時半から開催し、新成人10人による「はたちの誓い」などが配信されるということです。

清水市長は「オンラインでの開催は苦渋の決断で、このタイミングで開催方法を変えるのは断腸の思いだ。同窓会なども時期を変えて開催するようお願いしたい」と話していました。

ディズニーランドの成人式取りやめ 千葉県浦安市

毎年、東京ディズニーランドで成人式を行ってきた千葉県浦安市は、今月11日の成人式の開催を取りやめ、3月に延期することを決めました。

例年、東京ディズニーランドで成人式を行ってきた千葉県浦安市は、ことしは今月11日に初めて東京ディズニーシーを会場に、式典を行うことにしていました。

しかし、新型コロナウイルスの感染拡大で首都圏の1都3県を対象に緊急事態宣言が発出される流れを受けて、市は式典の今月11日の開催を取りやめ、3月7日に延期することを5日、決めました。

東京ディズニーシーを運営するオリエンタルランドと調整がついたことから会場は変更しない予定で、式の形式は今後、検討するということです。

市は対象となる2100人余りの新成人には郵送で連絡するということです。

千葉県によりますと県内54の市町村のうち、浦安市を含め、少なくともこれまでに36の市と町が、人が集まる形での成人式の中止や延期、オンラインでの開催などを決めているということです。

成人式延期も 滋賀県長浜市

また、滋賀県長浜市は今月10日に予定していた成人式について、首都圏などから参加する新成人の往来を避けるため春以降に延期することになりました。

長浜市はことしの成人式について、例年の2会場から4会場にしたうえで、参加者を入れ替える2部制にして密集を避けるなど、感染防止対策を徹底したうえで今月10日に開催する予定でした。

しかし、政府が首都圏の1都3県を対象に緊急事態宣言を出す方向で調整していることから首都圏などから参加する新成人の往来を避けるため、5日、成人式の開催を延期すると発表しました。

今後の開催時期は未定で、市は感染状況を見ながら春以降の大型連休やお盆など新成人が帰省しやすい時期の開催を模索したいとしています。

長浜市では「すでに新成人1293人に招待のはがきを発送するなど準備を進めてきたので延期は苦渋の決断だが、必ず開催できるようにしたい」としています。

県教育委員会によりますと滋賀県内の市や町でことしの成人式の延期を決めたのは長浜市が初めてだということです。

1都3県からの参加自粛を求める 奈良市長

今月11日に予定している奈良市の成人式について、仲川市長は政府が緊急事態宣言を出す方向で調整している首都圏の1都3県からの参加を自粛するよう求めました。

奈良市は、ことしの成人式について参加者の密集を避けるため午前と午後の2部に分け、式典の時間を30分に短縮するなどの対策をとったうえで、今月11日に開催する計画です。

仲川市長は5日の会見で、成人式を予定どおり実施する方針を示したうえで「東京などの感染状況をみると人の移動が感染拡大につながりかねず、大変残念だが参加の自粛をお願いしたい」と述べ、政府が緊急事態宣言を出す方向で調整している首都圏の1都3県に住む新成人に対して式への参加を自粛するよう求めました。

仲川市長は「感染者を出さないことをいちばんのポイントにおいて実施したい。年末年始にすでに帰ってきている人はかまわないが、感染対策を考えて行動をすることが、まさに新成人一人一人に求められることではないかと思う」と述べ、理解を求めました。

奈良県内では香芝市も緊急事態宣言が出された場合、対象の1都3県に住んでいる新成人に対して成人式への参加の自粛を呼びかけています。

東京 15区が会場に人集める従来のやり方を中止

新型コロナウイルスの感染拡大で、首都圏の1都3県を対象に緊急事態宣言が出される流れとなる中、NHKは東京23区の自治体に予定どおり成人式を行うかどうかについて取材しました。

5日午後4時半の時点の各区の状況を取りまとめたところ、世田谷区、江東区、墨田区などおよそ65%にあたる15の区が会場に新成人を集める従来のやり方での成人式の中止を決めたことが分かりました。

このうち、世田谷区は、新成人を会場に集めない形で成人式を開催し、区長の式辞などの式典の様子をインターネットでライブ配信することにしています。

また江東区は、式典を中止し、代わりに、区内出身の著名人からのお祝いのメッセージなどを録画した特別番組をインターネットとケーブルテレビで配信する予定だということです。

一方、杉並区、新宿区、中野区の3つの区は、感染対策を行ったうえで、予定どおり会場に新成人を集めて成人式の式典を開催する予定です。

このうち、杉並区では、式の回数をこれまでの倍の1日4回に増やして、1回当たりの参加者を減らす対策をとったうえで、時間も短縮して行うということです。

このほか、渋谷区、品川区、豊島区、練馬区、江戸川区の5つの区は、開催方法を検討中だとしています。

会場で開催 中止の15区
千代田区・中央区・港区・文京区・台東区・墨田区・江東区・目黒区・大田区・世田谷区・荒川区・板橋区・足立区・葛飾区・北区

会場で開催予定の3区
新宿区・中野区・杉並区

未定の5区
品川区・渋谷区・豊島区・練馬区・江戸川区

港区 “中止のお知らせ” 急きょ郵送

港区は、新型コロナウイルスの感染拡大を踏まえ、出席者を初めて事前の受け付け制にして、家族が会場の敷地内に立ち入ることも禁止するなど感染対策を徹底して、およそ700人の新成人を招いて実施する予定でした。

しかし、首都圏の1都3県を対象に緊急事態宣言が出される流れとなる中、区は成人式の式典や写真撮影スポットの設置を中止することを決めました。これを受けて5日は急きょ、区の担当者が中止を知らせる文書を新成人に郵送する作業を行いました。

港区は成人式を中止する代わりに、小学校の恩師からのメッセージ動画を配信するなどして新成人を祝いたいとしています。

港区子ども家庭課の野上宏課長は「一生に一度の成人式なので、なんとか開催できるよう進めてきたが、緊急事態宣言が発令される流れになるなか、断腸の思いで中止にさせていただいた。どうかご理解いただきたい」と話していました。

墨田区 新成人が“オンライン式典”の準備

墨田区は、今月11日におよそ2000人の新成人を招いて成人式を開く予定でしたが、首都圏の1都3県を対象に緊急事態宣言が出される流れとなる中、3日に新成人を集めて行う従来の形での成人式の開催を中止することを決めました。

区では代わりに、区長の式辞やお祝いのオーケストラによる演奏など、式典の様子をオンラインで生中継することにしています。

これを受けて5日は、式の実行委員を務める新成人ら7人が区役所に集まり、準備を行いました。

実行委員は、式に出席できない代わりに晴れ着の写真などを共通のハッシュタグをつけてSNSに投稿してもらう新たな取り組みの準備も進めていました。

式の実行委員長を務める三浦丈さんは「人生で1度しかない式なので残念です。晴れ着姿で会場に行きたくて悲しんでいる友達もいるので、今は我慢をして状況が落ち着いたら集まりたいです」と話していました。

墨田区文化芸術振興課の岐部靖文課長は「区としても苦渋の決断だった。新成人本人も家族も残念な気持ちだと思うが、違った形で新成人を励まし、盛り上げてあげたい」と話していました。

官房長官「自治体などで適切に判断を」

加藤官房長官は、記者会見で「成人式などについては、政府の分科会から『ステージ3』相当の地域では、オンラインを活用した形での開催や、時期や時間の分散化など、在り方を慎重に検討するよう提言をいただき、周知を行ってきた。成人式をはじめとしたイベントの開催要件についてはそれぞれの自治体、主催者において、適切に判断いただきたい」と述べました。