全世代型社会保障制度の
実現へ 最終報告まとまる

全世代型社会保障制度の実現に向けた政府の検討会議は、75歳以上の医療費窓口負担について、年収200万円以上の人を対象として、2022年度後半から2割に引き上げるなどとした最終報告をまとめました。

政府は14日午前、総理大臣官邸で全世代型社会保障検討会議の会合を開き、最終報告をまとめました。

この中で、焦点となっていた75歳以上の医療費窓口負担の2割への引き上げについては、年収200万円以上の人を対象として、2022年度後半から実施するとしています。

また、不妊治療をめぐっては、2022年度当初からの保険適用を目指すとともに、実現するまでの措置として、現在の助成制度で設けている所得制限の撤廃などを行うとしています。

さらに、保育所の空きを待つ待機児童を解消するため、2024年度末までの4年間におよそ14万人分の保育の受け皿を整備する一方、その財源を確保するため、2022年10月から児童手当の特例給付の対象を年収1200万円以上は除外することも盛り込んでいます。

このほか、男性の育児参加を進めるため、民間企業でも男性の育児休暇の取得を促進することを打ち出しています。

最終報告を受けて、菅総理大臣は「少子高齢化が急速に進む中、現役世代の負担上昇を抑えながら、すべての世代の方々が安心できる社会保障制度を構築し、次の世代に引き継いでいくことがわれわれの世代の責任だ。少子化対策の強化と高齢者医療の見直しに取り組むことで、全世代型社会保障への改革をさらに前に進めていく」と述べました。

検討会議の最終報告の詳細

政府の検討会議は、すべての世代が公平に支え合う「全世代型社会保障」の実現に向けて、「給付は高齢者中心、負担は現役世代中心」という社会保障の構造の見直しを進めてきました。

その結果、最終報告では「医療」と「少子化対策」の2つを柱とした取り組みが盛り込まれました。

「医療」

「医療」の分野では、75歳以上の医療費の窓口負担について、年収200万円以上の人を対象に2割へ引き上げるとし、2022年度後半から実施するとしています。

そのうえで、頻繁に医療機関を受診する人への配慮として、実施から3年間は1か月の自己負担の増加額を最大3000円に収める措置を取るとしています。

「少子化対策」

次に少子化対策です。不妊治療については2022年度当初からの保険適用を目指すとともに、それまでの間の措置として、現在の助成制度で設けている所得制限の撤廃などを行うとしています。

また、治療と仕事の両立を支援する措置を設けることや、流産を繰り返す「不育症」の検査やがん治療に伴う不妊についても、新たな支援を行うとしています。

このほか、保育所の空きを待つ待機児童を解消するため、2024年度末までの4年間におよそ14万人分の保育の受け皿を整備する一方、その財源を確保するため児童手当の特例給付の対象を絞り込み、2022年10月から年収1200万円以上の人については除外することも盛り込みました。

さらに、男性の育児参加を進めるため、民間企業でも男性の育児休業の取得を促進することを打ち出しました。具体的には、企業に対し、休みを取得しやすい職場環境の整備や制度の周知を義務づけるほか、男性の育児休業取得率の公表を促すとしています。

日本医師会中川会長「負担増えない工夫していきたい」

引き上げの対象範囲を狭めるよう求めてきた日本医師会の中川会長は、東京都内で記者団に対し「決着した以上は、その仕組みにおいて高齢者の負担がこれ以上増えないよう工夫をしていきたい。具体的にどうするかはこれから検討するつもりだ。納得感としては、われわれの思いとはそごがあるが、それはそれとして、できるだけのことはしたい」と述べました。