北海道 警戒ステージ「3」
ススキノで営業短縮を要請

新型コロナウイルスの感染が急速に拡大していることを受けて、北海道は、独自に定める「警戒ステージ」を「2」から「3」に引き上げ、札幌市の繁華街、ススキノの接待を伴う飲食店などに営業時間の短縮などを要請することを決めました。

北海道は先月、独自に定める警戒ステージを「2」に引き上げ、道民や事業者に感染防止への協力を要請していますが、感染の拡大に歯止めがかからず、病床のひっ迫度合いなどを示す指標は、ほとんどが1段階上の「3」の基準を超えています。

このため、道は7日開いた対策本部会議で、ステージを「3」に引き上げることを決めました。

そして、今月27日までを集中的な対策期間として、繁華街、ススキノで、接待を伴う飲食店や、バー、ナイトクラブは営業時間を、カラオケ店や居酒屋、料理店は酒を提供する時間を、それぞれ午後10時までに短縮するよう求めます。

また、道民や道内を訪れている人には、午後10時以降、ススキノで酒を提供する店の利用を控えるよう協力を要請します。

知事「ここで抑え込んでいくためにも協力を」

北海道の鈴木知事は7日開いた記者会見で、「警戒ステージ」の「3」への引き上げについて、「現時点で人の往来を止めるという段階にはなく、社会経済活動への影響を踏まえ、地域や業態を絞って対策を講じることで、感染拡大を抑え込んでいきたい」と述べました。

そのうえで「営業時間などの短縮要請は非常に強い措置で、関係者には大変なご苦労をおかけするが、ここで抑え込んでいくためにも、協力を心からお願いする。見えない敵に打ち勝つには、道民1人1人の行動が重要だ」と述べ、協力を求めました。

札幌市 営業時間など短縮で協力支援金を支給

北海道が独自に定める「警戒ステージ」を「3」に引き上げたことを受けて、札幌市は7日、対策本部会議を開き、繁華街、ススキノで行う営業時間などの短縮要請に遅くとも今月11日までに応じた事業者に対し、20万円の協力支援金を支給することを決めました。

秋元市長は会議で、「感染者の増加を受けて踏み込んだ対策を講じることとした。感染拡大による医療提供体制への負荷を抑えるためには対策の徹底が重要だ」と述べました。

また秋元市長は記者会見で、営業時間などの短縮要請について、「決して懲罰的なものではなく、感染拡大を早く収束させ、『ススキノ』という名前を守っていくための取り組みなので、理解してほしい。感染の状況は大変厳しく、拡大を防ぐため行動をとってほしい」と呼びかけました。

道内のクラスター 半数超がここ1か月余りに集中

北海道道内では、6日までに82件の感染者の集団=クラスターが発生していて、この半数以上がここ1か月余りに集中し、今月に入ってからも6日間で11件が発生するなど、深刻な状況が続いています。

道内では、5日から6日にかけて、札幌市内の高校と2つの医療機関でクラスターが発生し、これで道内で発生したクラスターは82件となりました。

このうち先月以降に発生したものは43件と、全体の半数以上がこの1か月余りに集中し、中でも今月に入ってからの6日間で11件が発生しています。

このうち、札幌市の繁華街、ススキノの接待を伴う飲食店に関連したものは、先月以降でおよそ3分の1の14件に上っています。

また地域別に見ると、札幌市ではこのほかにも、芸能事務所で所属タレントやイベントに参加した人が相次いで感染したほか、市内で行われた冠婚葬祭に伴う会食でもクラスターが発生するなど、先月以降の道内全体の発生数の7割近くにあたる29件を札幌市が占めています。

ススキノの飲食店「いつまでこの状況が続くのか」

札幌市のススキノにあり、観光客も多く訪れる居酒屋の「第八太洋丸」では、飛まつ防止のついたてを立てたり消毒を徹底するなどの感染対策に取り組み、客足が戻ってきているところだったということです。

その矢先に北海道が警戒ステージを引き上げ、午後10時以降に酒を提供しないよう要請したことで、ススキノを訪れる人が大幅に減るのではないかと不安を抱いています。

店主の今禎一さんは「感染対策に力を入れながら営業してきたので、ススキノをひとくくりにして要請が出たことで、せっかく徐々に戻ってきていたお客さんがまた減ると思うと残念です。ススキノで感染者が増えていますが、きっちり対策をしている店にとっては、とばっちりだと感じました。いつまでこの状況が続くのかと思うと不安です」と話していました。