福島県 東電に9千万円余
賠償求め提訴

福島県は、東京電力福島第一原子力発電所の事故に対応するため計画していた職員の削減が行えなかったとして、東京電力に対し、人件費など9000万円余りを賠償するよう求める訴えを29日福島地方裁判所に起こしました。県によりますと、原発事故の賠償をめぐって自治体が東京電力を訴えたのは、初めてだということです。

福島県は、行政改革の一貫として、平成23年度からの5年間で職員を350人減らす計画を立てていましたが、直前に発生した原発事故への対応のため計画どおり削減できなくなったとしています。

このため県は29日、東京電力に対し、削減できなかった人件費と弁護士費用合わせて9000万円余りを賠償するよう求める訴えを福島地方裁判所に起こしました。

県はこれまで、原発事故の対応で生じた人件費について国の紛争解決センターに申し立てて東京電力と話し合いを続けてきましたが、センターが示した和解案では、職員の残業代など10億円程度の賠償は認められたものの、職員を削減できなかった分は含まれなかったということです。

福島県によりますと、原発事故の賠償をめぐって自治体が東京電力を訴えたのは全国で初めてだということで、県は「早期解決のため、東京電力には真摯(しんし)に対応してもらいたい」としています。

一方、東京電力は「訴状が送達されたら、請求内容や主張を詳しく伺ったうえで、真摯に対応して参ります」としています。