ロシア司法当局トップ
北方領土を訪問

ロシアの司法当局のトップが16日、北方領土を訪問し、ロシア政府が進める島の開発事業などについて聞き取りを行いました。菅総理大臣の就任後、ロシア政府高官の北方領土訪問が明らかになったのは初めてです。

北方領土を訪問したのは、ロシアの司法当局のトップ、最高検察庁のクラスノフ検事総長で、16日朝、国後島を訪れたあと色丹島を視察しました。

ロシアの最高検察庁によりますと、クラスノフ検事総長は、島の行政担当者や住民と面会し、ロシア政府が進める島の開発プロジェクトをめぐって法律違反がないかなど聞き取りを行ったということです。

さらに択捉島も訪問し、第2次世界大戦の勝利を記念する広場に設けられた慰霊碑に花を手向けました。

ロシア政府高官の北方領土への訪問が明らかになったのは、ことし8月、ジニチェフ非常事態相が国後島を訪問して以来で、菅総理大臣の就任後、初めてです。

北方領土をめぐっては、日本とロシアは共同経済活動の実現を目指し、法的な課題について厳しい交渉を続けていますが、ロシアとしては、司法当局のトップが現地を訪問することで自国の司法権を強調するねらいもあるとみられます。

外務省 ロシア大使館に抗議

外務省は今月5日に訪問の情報を入手した段階で、ロシア側に対し、北方領土を訪問しないよう申し入れました。

そして、実際に訪れたことを確認した16日、欧州局ロシア課長が、東京にあるロシア大使館の参事官に対し、北方領土における日本の立場と相いれないとして抗議しました。