青森の核燃料工場 事実上の
合格 審査書案取りまとめ

使用済みの核燃料から取り出したプルトニウムを使って新しい燃料を作る国内初の商業用の核燃料工場について、原子力規制委員会は新しい規制基準に適合しているとして事実上の合格を示す審査書の案を7日取りまとめました。

青森県六ヶ所村に建設中の核燃料工場は、原子力発電所の使用済み核燃料から取り出したプルトニウムを使ってMOX燃料と呼ばれる核燃料をつくる国内初の商業用の工場です。

核燃料を再利用する国の核燃料サイクル政策の重要な施設の一つで、事業者の日本原燃は6年前に操業に必要な審査を原子力規制委員会に申請していました。

審査の中では、地震の揺れの想定を当初のおよそ1.5倍の700ガルに引き上げ耐震性を向上させることや、火災対策などが審議されてきました。

そして7日、規制委員会は日本原燃が示した対策は新しい規制基準に適合しているとして、事実上、審査に合格したことを示す審査書の案を全会一致で取りまとめました。

今後、パブリックコメントなどをへて、正式に合格となる見通しです。

工場の総事業費は2兆円余りで、日本原燃は再来年度上期の完成を目指しています。

核燃料サイクル政策をめぐってはことし7月、使用済み核燃料からプルトニウムを取り出す再処理工場も審査に合格していて、核燃料サイクル政策の主要な施設で規制側の手続きが進んでいます。

ただ、いずれの施設も完成が大幅に遅れ、巨額の費用がかかっているほか、プルトニウムの利用も当初の計画どおりには進んでおらず、政策は課題を抱えています。

核燃料工場と審査の概要

原子力規制委員会による操業開始に必要な審査に7日事実上合格した核燃料工場は、原発で使い終えた核燃料を再利用する国の核燃料サイクル政策の重要な施設です。

核燃料工場は、青森県六ヶ所村の再処理工場に隣接し、使用済み核燃料を再処理して取り出したプルトニウムを使い、MOX燃料と呼ばれる特殊な燃料を製造します。

このMOX燃料は再び、一般の原発で使われることが予定されています。

審査では、地震や津波など自然災害への対策については同じ敷地にある再処理工場と想定をそろえる形で、事故への対策が妥当かどうか、およそ6年にわたって審査が行われてきました。

地震の揺れの想定については、敷地の北東を通る「出戸西方断層」という活断層の評価を踏まえて450ガルから最終的に700ガルに引き上げました。

核燃料工場では、粉末状になったウランやプルトニウムなどの放射性物質を取り扱うのが特徴です。

こうしたことから放射性物質が漏れないようグローブボックスと呼ばれる密封された箱の中で核燃料を作る必要があり、日本原燃は耐震性を向上させる対策を示し、規制委員会は妥当と評価しました。

また、グローブボックスの中では機械による遠隔操作で放射性物質を扱うため、電気ケーブルが切れるなどして機械の潤滑油から火が出る火災が想定されました。

日本原燃は、複数の消火設備を配備するとしたほか、火災の際は放射性物質が工場の外に漏れ出ることがないよう空気の通るダクトを閉じるといった対策を示し、規制委員会はこれを妥当と評価しました。

核燃料工場とは

青森県六ヶ所村に建設中の核燃料工場は、原子力発電所の使用済み核燃料から取り出したプルトニウムを使って、MOX燃料と呼ばれる特殊な燃料をつくる国内で初めての商業用の工場です。

MOX燃料は再び、一般の原発で使われることが予定されていて、工場が本格稼働すれば、1年間に最大130トンの燃料を製造できるとしています。

核燃料工場は使用済み核燃料からプルトニウムを取り出す再処理工場の隣に建設され、建設費用はおよそ3900億円で操業にかかる費用なども含めた総事業費は2兆3000億円余りと見込まれています。

工場の完成時期について、事業者の日本原燃は当初、平成24年としていましたが、東日本大震災で工事が中断したことや、新しい規制基準に基づく安全審査が続いたことなどから6回延期し、現在は再来年度上期の完成を目指しています。

更田委員長「通常運転時の管理が非常に重要」

国内初の商業用の核燃料工場が新しい規制基準に適合しているとして、事実上の合格を示す審査書の案を7日、原子力規制委員会が取りまとめたことに関連して、更田豊志委員長は、プルトニウムを取り出す再処理工場も、ことし7月に審査に合格するなど核燃料サイクル政策の主要な施設で規制側の手続きが進んでいることについて「再処理施設や核燃料工場の特徴として、事故そのものが与えるリスクよりも通常運転時の管理が非常に重要だ。これから実際にどう作られ、運用、運転がなされるかが重要だ」と述べました。