都議会 政務活動費のうち
調査・政策立案は約4%

東京都議会の各会派に交付された2019年度の政務活動費は、議員が政策を立案するために調査や研究、視察などを行った費用の割合がおよそ4%にとどまり、公表されている過去5年のなかでは最も少なくなりました。専門家は「都に対抗できる政策力を議会が持つことが重要だ」として、政務活動費の本来の趣旨からすると、政策立案のためにより多くの費用を充てるべきだと指摘しています。

東京都議会の政務活動費は、議員1人当たり月額50万円が各会派に交付されていて、昨年度・2019年度の報告書は審査を担当する職員が新型コロナウイルスの対応にあたったことなどから、例年よりおよそ2か月遅れて7日公表されました。

それによりますと、交付された総額は7億4500万円余りで、このうち実際に使われたのは97.4%にあたる7億2600万円余りでした。

使われた費用のうち最も多かったのは、議会活動の報告などに充てる「広報・広聴活動費」で、全体の48.5%にあたる3億5200万円余りでした。

一方、議員が政策を立案するために調査や研究、視察などを行った費用にあたる「調査・政策立案費」は、2700万円余りで、全体の3.8%でした。

前の年度より額にしておよそ400万円、全体に占める割合では0.7ポイント減りました。

「調査・政策立案費」の割合は、公表されている過去5年は減少傾向が続いていて、今回が最も少なくなりました。

これについて、地方政治に詳しい法政大学大学院の白鳥浩教授は「広報紙の発行費などの割合が非常に高い。2019年度には、統一地方選挙と参議院選挙があり会派や政党に関連した広報を行った可能性がある」と述べました。

そのうえで「調査・政策立案費」の割合が少ないことについて「都知事との間に良好な緊張関係を作るためには都に対抗できる政策力を議会が持つことが重要だ。政策的な知見をつけてもらうというのが政務活動費の本来の趣旨なので将来は増やす方向に持っていってほしい」と述べ、政策立案のためにより多くの費用を充てるべきだと指摘しています。

都議会の政務活動費の収支報告書や領収書の写しは、インターネットでも公開されています。

「広報・広聴活動費」上昇 「調査・政策立案費」減少

東京都議会の政務活動費の支出項目には大きく分けて「調査活動補助費」、「調査・政策立案費」、「広報・広聴活動費」の3つがあります。

このうち「広報・広聴活動費」は、昨年度までの4年連続で支出全体に占める割合が増えています。

ほとんどは議員が議会活動について有権者に報告する「広報紙発行費」でした。

昨年度の「広報・広聴活動費」は3億5200万円余りで全体の48.5%を占めています。

38%だった2015年度から昨年度にかけて10ポイント余り上昇しています。

これに対し、割合が下がっているのが「調査・政策立案費」です。

政策を立案するために、他の自治体などへの視察や研修、外部への調査委託費などが該当します。

「調査・政策立案費」が全体に占める割合は過去5年は減少傾向で、2015年度の8.7%から昨年度は3.8%と、およそ5ポイント低くなりました。