気象庁HPの民間広告
1日で掲載停止に

中央省庁として異例の取り組みがわずか1日で停止です。
気象庁は、15日からホームページに民間広告の掲載を始めましたが、あらかじめ定めた基準に違反するおそれがある不適切な広告が掲載されていたことがわかり、16日午前10時前、広告の掲載を停止しました。

気象庁は、ホームページの運営費の一部を賄うため、15日から、ホームページ上に民間の広告の掲載を始めました。

気象庁が定めた基準では、法律に違反したり、事実と誤認したりするような不適切な内容を含むものは、掲載できないとしていましたが、15日午後2時に広告の掲載を始めて以降、この基準に違反するおそれのある広告が見つかったということです。

NHKの取材では、医薬品の広告表示に関する法律などに違反するおそれのある広告が複数、確認されました。

気象庁は、こうした広告を個別に削除する対応を取りましたが、今後も不適切な広告が掲載される可能性があるとして、16日午前9時58分からホームページでの広告の掲載を停止しています。

現在は「広告枠」という表示のみが確認できます。

中央省庁として異例の取り組みは、開始からわずか1日で停止する事態となりました。

気象庁は、「現在、基準に違反するおそれのある広告が掲載された経緯について調査しています」としています。

不適切な広告が掲載される懸念は以前から指摘されていて、気象庁の関田康雄長官は、ことし7月の会見で「国のホームページにふさわしくないような広告は最初から排除するルールにする」と述べていました。

「運用型」広告とは

今回、ホームページに掲載された広告は「運用型」と呼ばれる広告で、気象庁が広告の最終的な掲載先を選ぶわけではありません。

企業など、さまざまなウェブサイトの中から利用者の趣向などに合わせてサイトが自動的に選び出され、掲載される仕組みです。

気象庁によりますと、16日午前までに掲載を停止したのはおよそ100のウェブサイトに上るということで、インターネット上で買い物ができるショッピングサイトやヘアケア商品を扱うものなどで、誇大広告などのおそれがあったということです。

気象庁長官「対応できると思っていた」

気象庁の関田康雄長官は16日の定例会見で「二重三重にチェックして、不適切な広告は、そもそも掲載されないように対応できると思っていたが、実際はそうではなかった」と述べたうえで、「どこかにそごがあったことは間違いなくしっかり突き止めていきたい」として、経緯を詳しく検証する考えを示しました。

また、広告掲載の再開については「こういうことが二度とあってはならないので、『これなら大丈夫だ』という再発防止策ができた段階で再開すべきだと考えている」と述べました。

消費者庁「きちんと対応を 相談があれば適切に対応したい」

広告表示についての規制や取締りを行っている消費者庁の伊藤明子長官は16日の定例記者会見で、「法律に違反するかどうかの議論とは別に国が用意した場所の広告のありようは、厳格に考えていく必要がある。気象庁がいったん立ち止まって調査すると聞いているので、きちんと対応していただき、相談があれば適切に対応したい」と述べました。

また、「デジタル広告については、さまざまな課題があると指摘を受けているので、今回の事案も踏まえながら、できるだけ早いうちに対応していきたい」と述べました。

運用会社「対策について気象庁と協議」

気象庁から広告の運用を委託されていた都内の企業はNHKの取材に対し、広告を表示するシステムを提供しているGoogle社のチェックに加え、会社独自にチェックも行うなど、複数の対策を講じていたと説明しました。

そのうえで「『運用型』の広告は、複数のチェックを行っても、不適切なおそれのある広告を事前にすべて取り除くのは難しく、掲載後に削除する作業はどうしても発生する。今後は、より厳しい条件を付けるなど問題のある広告が掲載されるケースをゼロに近づけられるよう、対策について気象庁と協議していく」としています。

また、不適切な広告が掲載される可能性を事前に気象庁と共有していたかについては「気象庁は、個別に削除する頻度はもっと低くなると考えていたかもしれないが、運用型の広告の特徴は理解していだだいていたと思う」としています。