常国会が閉会 国民投票
法改正案などは継続審議に

第201通常国会は17日、会期末を迎え、国民投票法の改正案など成立に至らなかった法案を継続審議にする手続きが行われ、閉会しました。

ことしの1月20日に召集された通常国会は17日、会期末を迎えました。

衆議院では憲法審査会で与野党が折り合わず、採決が見送られた国民投票法の改正案を継続審議にする手続きが行われました。

また、本会議では果物の苗木などを海外へ無断で持ち出すことを規制する種苗法の改正案や来年の東京オリンピックの開会式などに合わせて祝日を移す法案など、成立に至らなかった法案を継続審議にする手続きが行われました。

そして、国会は150日間の会期を終え、閉会しました。

この国会では新型コロナウイルスの感染拡大で緊急事態宣言を可能にする特別措置法や年金制度改革関連法など、政府が提出した59の法案のうち55が成立しました。

また、経済対策が盛り込まれた今年度の補正予算が2度にわたって提出され成立するなど、新型コロナウイルス対策を中心に議論が行われました。

一方、検察官も含めた国家公務員の定年を引き上げる法案は成立が見送られ、廃案となったほか、総理大臣と野党の党首が論戦を行う「党首討論」は1度も開催されませんでした。

首相「閉会中でも求められれば説明責任果たす」

安倍総理大臣は17日午後、総理大臣官邸に入る際、記者団に対し「閉会中でも、求められれば、政府としてきちんと説明責任を果たしていく」と述べました。

菅官房長官「今後も与党と一層意思疎通を」

菅官房長官は、午後の記者会見で「本予算と補正予算の合わせて4本の予算に加えて、多くの政府提出法案を成立させることができた。関係する皆さんのご尽力に感謝したい」と述べました。

また、与党との連携について、「これまでも政府と与党は緊密に連携しながら政策に取り組んでおり、今後も一層意思疎通を図っていきたい」と述べました。

一方、記者団から「政府が一度決めた政策を転換する事例があり、政権の力が落ちていると指摘されているが、どのように考えるか」と問われたのに対し、菅官房長官は「国会審議でさまざまな意見を受け止めながら対応していくのは、よいことではないか」と述べました。

自民 二階氏「コロナとの闘い今後も続く」

自民党の二階幹事長は、記者団に対し「誰もが経験したことのない新型コロナウイルスとの闘いがこの国会の大きなテーマだった。闘いは今後も続くが、感染拡大を防ぎ、医療現場を守ると同時に、活発な経済活動を続けてもらうため、しっかり対応していきたい。閉会中も関係する委員会を動かすことによって、国民の声を吸い上げ、現場の状況を国政に反映させていきたい」と述べました。

自民 石破氏「閉会中審査を精力的に」

自民党の石破元幹事長は、記者会見で「10兆円の予備費をどう使うか、いろんな意見がある。閉会中審査を精力的に行ってもらいたい。説明責任を果たすことが政府の役割であり、そうあってもらいたい」と述べました。

立民 枝野氏「一日も早く政権交代を」

立憲民主党の枝野代表は党の両院議員総会で「閉会は大変不本意であり『ひきょう者、逃げるな』と何度でも言いたい。一方で、閉会中審査の事実上のルール化を勝ち取ったので、引き続き新型コロナウイルス対策では政府の足らざる所を補っていきたい」と述べました。

そのうえで「今の安倍政権の状況を踏まえれば、一日も早く解散・総選挙に追い込み、政権交代を実現しなければ取り返しのつかない状況が進む。政権交代を堂々と訴えられる構造を作るために全力を挙げる」と述べました。

国民 玉木氏「非常に不誠実な対応だった」

国民民主党の玉木代表は、記者会見で「当初から提案していた現金10万円の一律給付が実現するなど成果を出すこともできたが、政府は、はぐらかしの答弁が多く文書も残さないなど、非常に不誠実な対応だった。新型コロナウイルスの第2波、第3波への備えや、税金の使いみちのチェックなどについて閉会中も審議を深めたい」と述べました。

公明 山口氏「4つの予算案を成立 歴史上まれ」

公明党の山口代表は、党の両院議員総会で「この国会は、未知の感染症への対応に終始した『コロナ国会』とも言うべき特別な内容だった。4つの大きな予算案を1つの国会で成立させたのは、歴史上まれにみることだ。閉会となっても、閉会中審査などを駆使して立法府としての責務を果たしていきたい」と述べました。

維新 馬場氏「政策競い合える国会改革が必要」

日本維新の会の馬場幹事長は、記者会見で「新型コロナウイルスの感染拡大後も、国会運営は旧態依然とし、さまざまな駆け引きの中で野党側が審議拒否をしたり、与党側が的外れな対応をしたりと、緊急事態できちんと機能したとは言えない。それぞれの政党が政策を競い合えるような国会改革が必要だ」と述べました。

共産 志位氏「閉会中審査に首相出席求める」

共産党の志位委員長は記者団に、「閉会中審査のルールを決めたことは前進だが本来は会期を大幅に延長すべきで、それに背を向けたことは厳しく批判したい。これからも閉会中審査に安倍総理大臣の出席を求めていく。この国会では、現金10万円の一律給付など野党が成果を勝ち取ることができた。行政監視をしっかり行い、さまざまな施策を前に進める努力をしたい」と述べました。

社民 福島氏「安倍政権の退陣に向けて頑張る」

社民党の福島党首は記者会見で「持続化給付金の事業の委託や、東京高等検察庁の黒川前検事長の定年延長などが大きな問題となったが、共通しているのは、政治と税金の私物化であり、正直さと公平性がない政治だ。安倍政権の退陣に向けて頑張っていきたい」と述べました。