液使ったPCR検査が
可能に 検査体制拡充に期待

新型コロナウイルスへの感染を確認するPCR検査について、厚生労働省は現在の方法より簡単な唾液を使った検査を2日から認めることになりました。医療機関の負担が軽減され、検査体制の拡充につながると期待されています。

現在のPCR検査は、医師などが患者の鼻の奥をぬぐって検体を採取していますが、医師の感染を防ぐための物資をそろえるなど十分な対策をとる必要があり、検査体制を拡充していくうえでの課題となっていました。

こうした中、厚生労働省はより簡単に行える唾液を検体として使うPCR検査を認めることになりました。

2日、検査キットの承認や保険適用が行われるとともに検査マニュアルも改定されました。

厚生労働省によりますと、自衛隊中央病院の入院患者の検体を使った研究では、発症から9日以内であれば高い確率でこれまでの方法と同じ結果が得られたということです。

このため、今回認められた唾液によるPCR検査方法を行う対象は発症から9日以内の人とされました。

医師の感染を防ぐ対策や人材確保をめぐる医療機関の負担が軽減され、検査体制の拡充につながると期待されています。

加藤厚生労働大臣は閣議のあとの記者会見で「今後、唾液を使った検査が行われることで、これまでの検査方法と比べて患者や検体を採取する機関の負担が大幅に軽減されると考えている」と述べました。

小池知事「早く導入したい」

これについて、東京都の小池知事は「これまでの鼻に綿棒をさして拭う検査は、技術もいるしいろんな環境も整えなければならなかった。実現することは大変うれしく思う。都としてもできるだけ早く導入したい。まずは始めてみて、精度を高めていくことが必要ではないか」と述べました。

菅官房長官「感染防御の負担 大幅に軽減」

菅官房長官は、記者会見で「唾液を用いた検査で確定的な診断を行うことができ、従来の検体を採取する方法と比較して患者の負担や、採取に従事する方の感染防御のための負担が大幅に軽減されると考えている」と述べました。

そのうえで、先月承認された新型コロナウイルスの簡易検査「抗原検査」について「抗原検査はPCR検査と比べて短時間で、検査機関に検体を送付することなく判定できるメリットがある。厚生労働省で、その精度を確認し、抗原検査とPCR検査の適切な組み合わせについて検討している」と述べました。

唾液を使った検査のメリットと注意点

唾液を使ったPCR検査の導入によって、現場では感染防御の負担の軽減が期待されています。

綿棒で鼻の奥を拭う従来の検査では、患者がくしゃみをする可能性があるため、医師らにはマスクや手袋に加えてフェースシールドやガウンの着用が求められていました。

それが唾液による検査ではマスクと手袋のみとなり、フェースシールドやガウンは必要なくなります。

さらに患者側の負担も少なくなります。

患者は、口にためた唾液を検体として1から2ミリリットル容器に出すだけで検査を受けることができます。

注意点は、検査の直前に歯磨きや飲食をしないことです。

正確な検査結果を得られないおそれがあります。

一方、症状がない患者については有効性が確認されておらず、従来の検査が必要になります。

唾液を使ったPCR検査は、専門外来の「帰国者・接触者外来」となっている医療機関などで医師らが必要と判断した場合に行われます。