学援助 自治体で周知や
対応に差 支援届かぬおそれ

経済的に厳しい家庭に学用品などの費用を支援する「就学援助」。
国は新型コロナウイルスの影響で経済状況が急変した家庭が利用できるよう区市町村に呼びかけていますが、専門家は自治体の間で周知に差があり必要な支援が届かないおそれがあると指摘しています。

就学援助は、経済的に厳しい家庭の小中学生が安心して学べるよう、区市町村がランドセルなどの学用品や給食などの費用を支援する制度で、対象を前年度の所得などをもとに決定します。

国は新型コロナウイルスの影響が広がる中、対象を決める際、前年度の所得だけでなく2月や3月の家計の急変を考慮することや、4月分からの申請期限を延長するなどの柔軟な対応をとるよう自治体に呼びかけました。

これを受け、山形市がホームページに新型コロナウイルスに関わる変更点を説明した就学援助の専用ページを新たに作ったり、大阪府藤井寺市が4月分からの申請期限を6月まで延長し、感染防止の観点から今年度は役所への提出だけでなく郵送でも申請を受け付けるとしています。

一方、家計の急変に柔軟に対応することを明示しないまま、すでに4月分の申請を締め切ったとする自治体があるなど周知に差があり、就学援助に詳しい千葉大学大学院国際学術研究院の白川優治准教授は利用できることを知らされず、必要な支援が届かないおそれがあると指摘してきます。

白川准教授は「支援に差が出るのは、義務教育を支える制度として十分ではない/区市町村単位でなく、都道府県単位といった広い単位で周知や運用のしかたを決めていく必要がある」と話しています。

文科省「学校や教育委員会に相談を」
自治体ごとに周知や対応などに差があることについて文部科学省は「就学援助は、子どもたちが安心して学校生活を送ることができるようにする制度で、支援を必要とするご家庭に必要な援助が行き届くよう、各自治体において積極的な情報提供に努めてほしい」としています。

そのうえで「家計が急変するなど経済的にお困りの際は、学校やお住まいの自治体の教育委員会にご相談ください」と呼びかけています。