型コロナで医療従事者ら
2人を初の労災認定 厚労省

厚生労働省は、新型コロナウイルスに感染した医療従事者など2人を労災に認定したことを明らかにしました。感染を業務によるものとして労災と認めるのは今回が初めてです。

労災認定されたのは、いずれも新型コロナウイルスに感染した医療従事者1人と、生活関連サービス業に従事する人1人の合わせて2人です。

厚生労働省は労災認定について、医療や介護に従事する人は、仕事以外で感染したことが明らかな場合を除いて原則、労災と認め、それ以外の仕事に従事する人も、客と近づいたり接触したりする機会が多い場合などは業務によって感染した可能性が高いとして、感染経路が分からなくても個別に判断する方針です。

厚生労働省は2人のケースについて詳細は明らかにしていませんが、感染者で労災と認められたのは今回が初めてだということです。

また、業務によって感染したとして労災を申請した人は14日の時点で、全国で39人で、内訳は、医療従事者が19人、介護や福祉に携わる人が11人、製造業や、卸売・小売業が、それぞれ2人などとなっています。

加藤厚生労働大臣は閣議後の会見で、医療機関に対し労災の申請への協力を要請したと明らかにしたうえで「何かあったときに対応できる安心感を持ってもらうためにも医療従事者が感染したら速やかに本人に労災請求を勧め、手続きに協力してもらえるよう強くお願いしたい」と述べました。

集団感染の病院に勤務の看護師が労災申請

都内で、新型コロナウイルスの集団感染があった病院に勤務する看護師の女性が、感染は業務によるものだとして労災を申請しました。

労災を申請したのは入院患者や医師、看護師の感染が確認された、都内の病院に勤める看護師の女性です。

代理人の弁護士によりますと、女性は先月中旬に多数の職員の感染が確認されて以降、少ない人数で感染した入院患者の看護をするためふだん以上に長時間労働となり、先月19日に発熱や下痢などの症状が出て29日に感染が確認されたということです。

女性は肺炎や呼吸困難などの症状があり、現在は入院しています。また、80代の母親も感染が確認されたということです。

女性は「職場は騒ぐなという雰囲気で誰にも相談できませんでした。母親も私の仕事のせいで感染させてしまったと思うと本当に申し訳ない」とコメントしています。

これまでのところ病院から労災の手続きなどについての説明はなく、この病院でほかに労災申請をした人はいないということで、代理人を務める川人博弁護士は「多くの職員が感染し時間もたっているのに、労災手続きが行われておらず、病院が責任を果たしているとはいえない。国も集団感染を把握した場合は、積極的に労災保険の制度について事業主に説明し、救済方法の周知を徹底すべきだ」としています。