営の先行き不透明
”閉店支援”に関心集まる

緊急事態宣言が今月31日まで延長されることが決まる中、飲食業や小売業では経営の先行きが不透明だとして閉店を検討する経営者も出てきています。こうした閉店にかかる費用を少しでも抑えようと、経営者を支援するサービスに関心が集まっています。

都内でメロンパンの販売店や語学教室の事業を手がける角田豊さんは新型コロナウイルスによる外出自粛などの影響で今後の経営の見通しを立てられずにいます。このうちメロンパンの店は一時的に売り上げが伸びたものの、今後、こうした状況が続くとは思えず、2つある店舗のうち1店の閉店を検討しています。

角田さんは「店舗から退去するまでの間の賃貸料がかかり、元どおりにするのにも60万円ほどかかるので大きな負担です。都が外出自粛を呼びかけた段階で、年内は同じような体制で事業を続けるのは無理だと判断し、見直す必要があると思いました」と話していました。

こうした閉店に関する相談に乗っているのが東京・千代田区の会社で、閉店で退去したい人と、今後新たな事業を立ち上げ入居したい人を仲介するサイトを立ち上げ、ことし3月から公開しています。

この日、担当者は閉店を検討している都内の飲食店の経営者を訪れ、仲介のしくみを説明しました。閉店する経営者は店内を元どおりにしなくても退去できることから閉店の出費を抑えることができ、さらに仲介が成立すれば、入居したい人が支払う手数料の一部が閉店する経営者に支払われます。

飲食店の経営者は「この店の規模だと元どおりにするのに200万円から250万円はかかるので、少しでも負担がなくなるのはよい」と話していました。

この会社によりますと、先月末までに退去を検討している物件は飲食店を中心におよそ150件がサイトに登録されていて、これに対し1000社ほどから入居の希望が寄せられているということです。

仲介サイトを運営する「アクトプロ」の中野雅人取締役は「緊急事態宣言の延長は店舗を借りている経営者にとって大きな打撃です。戦略的にいったん撤退して、事態が収束したあとに店を再開するなど、先行きが不透明な中で選択肢を考えるための相談窓口として使ってもらえればと思います」と話していました。